地域No.1店舗の売れる秘訣
<地域No.1店舗の売れる秘訣 あの人気店はこうしてつくられた>ヨドバシカメラマルチメディア横浜 ――横浜No.1店舗との呼び声 常連客を増やす演出を徹底
2013/12/19 18:44
週刊BCN 2013年12月16日vol.1510掲載
ヨドバシカメラマルチメディア横浜
住所:神奈川県横浜市西区北幸1-2-7
オープン:2005年11月(リニューアル)
売り場面積:約2万m2
従業員数:約320人
【店長が語る人気の理由】
阿美店長は、秋葉原や梅田、仙台、札幌など、全国で旗艦店の立ち上げに参画してきた。マルチメディア横浜の開店の際も店長を務め、今、再び店長として戻ってきた。「店舗は、立ち上げとその後の展開が重要」が信条。今までの店舗運営にエッセンスを加えようと、他業界の売り場づくりから学び、これまでになかった新しい提案を常に模索する。
接客は、「お客様の心を察すること」という。例えば、修理のために来店したお客様は、使っていた製品が壊れたこと自体に不満を抱いている。だから、「お客様の心に安心感を与えることが重要だ」。マルチメディア横浜の強さは、売り場づくりと接客にある。
日本最多の鉄道6社が乗り入れ 家電量販店は旗艦店の位置づけ
横浜駅は、JR、京浜急行電鉄、東京急行電鉄、相模鉄道、市営地下鉄、横浜高速鉄道と、全国で最も多くの鉄道が乗り入れるターミナル駅だ。駅前には商業ビルが建ち並び、西口にはザ・ダイヤモンド、東口にはポルタという地下街が広がる。百貨店は、西口に高島屋横浜店、東口に横浜そごう、そのほか複数のショッピングモールや多くの飲食店があって、幅広い年齢層が訪れる日本有数の繁華街だ。家電量販店では、駅前にヨドバシカメラとビックカメラ、駅から少し離れた場所にパソコン専門店のドスパラが出店している。各社とも横浜駅周辺の店舗を旗艦店の一つと位置づけ、お客様を獲得するための取り組みに余念がない。そのなかで、さまざまな策を講じて多くのお客様を獲得しているのが、ヨドバシカメラマルチメディア横浜だ。
ヨドバシカメラマルチメディア横浜は、JR横浜駅から徒歩3分の絶好の立地。三越横浜店跡の建物を全面リニューアルして、2005年11月にオープンした。もともとは横浜駅みなみ西口(旧相鉄口)にあった店をここに移転オープンしたもので、旧店舗は、現在、横浜駅前ケータイワンセグ館になっている。
マルチメディア横浜の売り場面積は約2万m2で、売り場は地下1階~地上7階。地下1階で地下街のザ・ダイヤモンドと直結するなど、駅からのアクセスは抜群だ。家電の購入を目的に訪れるお客様だけでなく、地下街を通る人や他のショッピングのついでに寄る人も多い。また、地下2階と地上8階はレストラン街で、買い物の帰りに食事を楽しむことができる。阿美祥之店長は、「一つの店舗で完結する百貨店やGMS(総合スーパー)を意識している」と説明する。
売り場づくりは百貨店やGMSを意識 リアル店舗を生かした取り組みも
マルチメディア横浜の店内は常に賑わっている。これは、大型店ならではの品揃えや駅前の地下街に直結する利便性だけが理由ではない。阿美店長のいう「家電量販店の要素に百貨店やGMSの要素を加えた売り場づくりの工夫」があるからだ。まず、広い売り場面積を生かして通路を広く確保し、お客様がゆっくりと買い物できるようにしている。また、案内掲示板だけでなく、興味を引くPOPや展示などで、フロア内のどこに何が販売されているのかがひと目でわかるようにしている。「広いので、ときには迷ってしまうお客様もいる。誰でも気軽に来店できて安心して購入できる店舗を目指して、いろいろな工夫をした」結果なのだ。品揃えについては、デジタル機器と白物家電、ともに最新機種を中心に多くの商品を取り揃えている。最近では、「スマートフォンのアクセサリに関しては、どの店にも負けない」という特徴を打ち出した。パソコンやオーディオでも周辺機器の販売に力を入れ、「お客様からパソコンの用途を聞き出して、最適なパッケージソフトをおすすめしている」という。オーディオでは、イヤホンとヘッドホンをスマートフォンアクセサリと同様に豊富に取り揃え、「音にこだわるお客様に、10万円以上の高級機を購入していただいている」。各アイテムのバランスはトレンドに応じて変化させ、平均アイテム数は60万~70万点で推移している。この季節は、当然だが「暖房器具の周辺機器を充実させる」という。
デモコーナーでは、他店とは一線を画した取り組みで大型商品をアピール。新製品の発売が相次いだ4Kテレビの視聴コーナーを設置していることに加え、「鮮明な映像にお客様は興味を示すが、コンテンツの供給がこれからなので、なかなか購入にはつながらない。そこで、デジタルカメラのフロアに4Kテレビを置いた特設コーナーを用意した。このコーナーで、『撮影した写真をきれいな映像で楽しめる』と提案したところ、写真撮影が趣味のお客様が購入されるようになった」という。当然、スタッフは4Kコンテンツの供給が始まる時期の告知や、そのための準備の説明も忘れない。コンテンツが配信されるまで「自分の作品を楽しむ」という用途をつくり出して、4Kテレビに価値を付加することで商品の魅力を引き出しているのだ。
競争の激しい横浜だが、実はリアル店舗よりも、「ネットショップとの競争が激しさを増している」という。阿美店長は、「また来店したいと、お客様に思っていただけることがリアル店舗のあり方」だと考えて、トレンドを先取りした店舗づくりを心がけている。
・駅の地下街に直結するアクセスのよさ
・トレンドに合わせた品揃えのバランス
・新しい用途を生み出すデモコーナー
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