家電激戦区を歩く ~ライバル激突で何が起きているのか~
<家電激戦区を歩く ~ライバル激突で何が起きているのか~>【宮城・仙台市】vol.1 街の全体像 ~中心地区の人口増と再開発 東北の震災復興をけん引
2013/05/16 18:44
週刊BCN 2013年05月13日vol.1480掲載
人口は前年から1万人増
仙台市の今年4月時点の人口は105万8939人で、前年から9115人増加した。世帯数は47万7991世帯で、同じく6329世帯の増加。震災以前から東北の玄関口として人口増が続いていたが、ここ2年は2011年3月11日に発生した東日本大震災が大きな要因になっている。震災直後、津波と原発事故による被災者が県内外から流入したことに加えて、現在も復興が進まない地域からの転入が続いているのだ。泉区や青葉区、太白区などの中心部では、今、マンションの建設が相次いでいる。人口の増加だけではない。東北の玄関口である仙台駅前では、東口の再開発が進んでいる。今年3月には、駅2階の東西自由通路の拡幅整備工事を開始。商業施設やホテルなどを建設する駅東口の開発工事にも着手し、2016年春に完成する見通しだ。
商業施設は、自由通路を挟んで地上6階の南棟と地下1階から地上4階の北棟を建設。西口の商業施設エスパルなどとの連動も視野に、さまざまな業種・業態の店舗・企業を誘致する。北棟は、地上2階に東口初の在来線改札口を新設するほか、4階に保育園など子育て支援施設も整備。ホテルは、仙台駅西口にあるホテルメトロポリタン仙台の別館という位置づけで、地下1階から地上14階、280室の大規模宿泊施設となる。2017年春に完成する予定だ。
この再開発は、東北新幹線の開業に合わせてペデストリアンデッキなどを整備した1977年の新駅舎建設後、初めての大規模改装。仙台駅を東北の玄関口にふさわしい駅として再確立することで東北全体の活性化につなげる。
駅前に大型店舗のヨドバシ
人口増や仙台駅前の発展は、家電量販店にとっても売り上げを伸ばす大きなチャンスになる。現在、市内では、駅前にヨドバシカメラ、ヤマダ電機、ドスパラ、TWOTOPが、郊外にヤマダ電機とコジマ、そして仙台が本拠地のデンコードーを子会社化したケーズデンキが店を構える。
ヨドバシカメラは、1991年に仙台に進出。以後、移転するたびに店舗を拡大してきた。昨年4月に移転オープンした駅東口のヨドバシカメラマルチメディア仙台は、売り場面積が移転前の2倍程度となる約1万5000m2、延床面積が約3万6100m2の大規模店で、県内外から幅広い年齢層のお客様を獲得している。しかし、これでもまだ仮の姿。東口再開発が終了したときには、延床面積が9万m2を超える地上5階建ての複合ビルのなかに入る予定になっている。
東口には、このほかドスパラ仙台店とTWOTOP仙台店のパソコン専門店がある。両店とも、ヨドバシカメラマルチメディア仙台と比べて売り場面積が小さいものの、専門店ならではの品揃えと接客によって、パソコン上級者を中心にお客様を獲得している。
繁華街の仙台駅西口には、ヤマダ電機LABI仙台が店を構える。近くに仙台パルコやさくら野百貨店仙台店、地元の大手百貨店である藤崎、さらには中心商業地区として栄える中央通と一番街通に商店街・飲食店などがあり、ヨドバシカメラと同様、幅広い年齢層が来店している。
郊外では、ヤマダ電機とケーズデンキが仙台市の東、西、南、北、太白という5地区で激しい競争を繰り広げている。また郊外には、コジマも宮城野や泉中央に店を構える。
仙台市では、駅前の店舗が街の来訪者を、郊外の店舗が近隣の住民を主なお客様として確保している状況だ。各店舗とも、他店との差異化を図って、お客様の増加に力を注いでいる。
高評価の店舗が多い仙台地区
郊外で競争激化の様相
郊外店は、売り場面積が5000m2規模が多く、ほかの地域と比べると、決して大きいとはいえない。しかし、「各店舗とも住民をお客様として囲い込んでいる」と捉えている。
駅前の大型店も、他地域と比べると決して大きいとはいえないが、「幅広い層に合わせた品揃えで、多くの来店者を集めている」と評価。しかも、新幹線で岩手や秋田、高速バスで福島や山形から来訪するお客様も多く、「仙台は東北の中心都市。東北の家電量販は仙台の旗艦店が担っている」と、旗艦店をみれば各家電量販店が東北でどのような取り組みをするかがわかるという。さらに、駅前の再開発で、仙台がさらに活性化し、「仙台への一極集中が進むだろう」とみる。
郊外でヤマダ電機とケーズデンキが激しいシェア争いを繰り広げているが、「今後は、コジマが2社と互角の勝負ができるかに注目が集まるだろう」と分析する。コジマは現在、親会社のビックカメラと共同で品揃えやスタッフの体制などを整備している。デジタルカメラの販売など、ビックカメラが強みとする商品で、いかに他店との差異化を図っていくかが勝負の分かれ目になる。
家電量販店以外でも、郊外で大型ショッピングモールを運営するイオンなどが、「家電の販売に力を入れ始めている」という。休日になると多くの来訪者で賑わう大型ショッピングモールは、家電量販店にとって大きな脅威だ。「ますます競争が激化する可能性が高いのではないか」とみている。
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