家電激戦区を歩く ~ライバル激突で何が起きているのか~
<家電激戦区を歩く ~ライバル激突で何が起きているのか~>【愛知・名古屋市】vol.2 店舗 ~広い売り場とアクセスのよさで集客 高額商品を売る秘訣は「納得」
2013/04/18 18:44
週刊BCN 2013年04月15日vol.1477掲載
雨に濡れずにお買い物
お客様を飽きさせないレイアウト
名古屋駅前の大型店舗は、広い売り場と交通の利便性を強みに、多くの来店者を集めている。ヤマダ電機LABI名古屋は、9000m2以上の売り場面積を生かして、ベビーカーや車イスがスムーズにすれ違える広い通路に加えて、地下1階で名鉄名古屋駅と近鉄名古屋駅に直結していることが強み。古久根譲副店長は、「ゆっくりと商品が選べる環境と駅直結で、郊外型店舗のテックランドの休日と同レベル以上の来店者を平日に集めている」と自信をみせる。 ビックカメラ名古屋駅西店も、1万5000m2以上の売り場面積と、駅に直結して雨に濡れずに入店できる利便性で、多くのお客様を引きつけている。エディオン名古屋本店は、駅から少し離れているものの、旧エイデンの知名度とミヤコ地下街直結という利便性で常連客を確保している。
大須商店街のパソコン専門店は、お客様を飽きさせないレイアウトを整えている。なかでもユニットコムグループのグッドウィルEDM(エンターテイメントデジタルモール)は、店内の構造がユニークだ。地下1階から地上5階建てで、各階が通路をはさんで二つのフロアに分かれ、売り場として7フロアを確保している。名古屋を中心に中部地区の責任者を務めるユニットコムの溝口英親・営業統括部リーダーは、「使いづらいはずの構造だが、パソコン専門店は組み立てパソコン用パーツも含めて商品数が多い。各フロアでテーマを決めて、それぞれお客様を確保する店舗に仕上げている」とアピールする。
ドスパラ大須店は、今年3月に1フロアを増床して、生活雑貨やユニークなグッズを販売する上海問屋コーナーを新設した。鈴木修司副店長は「楽しさを提供する」と、大須商店街を訪れる若者の来店に期待する。
郊外の店舗は、リピーターの確保がポイント。ケーズデンキ吹上店は、売り場面積が約5000m2と、駅前に比べて小規模だが、名古屋で知名度の高いギガスの店舗として住民から高い信頼を得ている。河瀬正樹店長は、「近くに住む60歳以上のお客様が気軽に来店される」という。
【売り場】
製品比較で体感の場を提供
選びやすい売り場を実現
持ち家比率の高さや冠婚葬祭への出費が大きい名古屋では、他地域に比べて高額な商品が売れるといわれる。価格が高くても自分に適していると納得すれば、お客様は購入する。こうした客層に向けて、各店舗はさまざまな工夫でアピールしている。 ケーズデンキ吹上店では、フロア全体の棚の高さを「高齢のお客様でも商品が見やすいように135cmに設定している」(河瀬店長)という。棚を低くすれば、お客様が来店したときに店内を見渡すことができ、スタッフに聞かなくても目的の商品がある場所に行くことができる。このレイアウトは、60歳以上のお客様から評判がいいという。
ヤマダ電機LABI名古屋は、掃除機など、試してみなければ性能や使い勝手がわからない商品について、全メーカーの機器を体感できるようにしている。空気清浄器など、効果がわかりにくい製品については、「例えば同じシャープの製品を2台並べて、プラズマクラスターが花粉やハウスダストが衣服に付着しにくいことを実演している」(古久根副店長)という。
グッドウィルEDMでは、ゲームユーザー向けにマウスやゲームコントローラのよさがわかるデモコーナーを設置。後藤靖生EDM店長は、「実際にゲームを体感して、さまざまなマウスやゲームコントローラを試すことができる。このコーナーの存在がサプライ品の販売の伸びに貢献している」と効果を語る。
ドスパラ大須店のお客様にはゲームファンが多く、自社ブランドのパソコン「ガレリア」の性能をアピールするコーナーでスペックが異なるモデル複数台を並べ、「お客様が主にプレーするゲームに適したモデルを選んでいただく」(鈴木副店長)と、ゲーマー向けの環境を整えている。
【品揃え】
人気商品を豊富に揃える
他店にはない商品や見せ方も
品揃えに関しては、売り場面積の広さもあって、名古屋駅前の量販店が圧倒的な数を誇っている。ビックカメラ名古屋駅西店は50万点以上、ヤマダ電機LABI名古屋は100万点規模に達している。ヤマダ電機LABI名古屋では、「市場で人気の高い商品を中心に、当店に来ていただければ何でも揃うということを訴えて、お客様に満足していただく」(古久根副店長)ということをコンセプトに掲げる。 駅前の店舗が人気商品を豊富に揃えるのは、客層が幅広く、しかも初めてのお客様が来店するケースが多いからだ。とくに市外から初めて来店したお客様は、目当ての商品をスムーズに購入することができれば、満足度が向上するという。
ヤマダ電機LABI名古屋では、駅と直結する地下1階に女性向け商品を集めた「For Ladiesコーナー」を設けて、主婦の買い物帰りや、学生・会社員の女性の帰宅途中の来店を狙っている。もちろんこのコーナーでも、「他店に負けない品揃えだ」(古久根副店長)という。
一方、大須商店街や郊外では、他店にはない商品を多く揃えたり、商品の見せ方を強化したりして商品をアピール。ケーズデンキ吹上店は、今年2月にリニューアルして、LED照明の品揃えを拡充した。展示も、天井に吊るすのではなく、棚に置いて、お客様に明るさをはっきり認識してもらうようにした。河瀬店長は、「棚に置くことで、きちんと体感していただきながら説明できるようになり、販売が伸びている」と満足げだ。最近では、LED電球の品揃えも充実させて販売を増やしている。
グッドウィルEDMは、「パソコンパーツならどの店舗にも負けない」(溝口リーダー)と言い切る。1フロアを使ってパソコンパーツを展開し、来店者も多い。ドスパラは、「中古の買取りと販売、ともに堅調に推移している」(鈴木副店長)と、リユースを訴えながら他店と差異化している。
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