家電激戦区を歩く ~ライバル激突で何が起きているのか~
<家電激戦区を歩く ~ライバル激突で何が起きているのか~>【大阪・大阪市】vol.3 接客・サービス ~キーワードは「心をつかむ」 好かれる人材で固定客を確保
2013/03/28 18:44
週刊BCN 2013年03月25日vol.1474掲載
街を知り尽くす人材を幹部に
長年の経験を生かした店づくり
梅田
濱田光太副店長
築田啓司副店長
川井彰店長
中原聡店長
早稲本誠人副店長
【接客】
お客様を「ファン」に育てる
コミュニケーションがカギに
大阪には、値引きの文化が根づいている。お客様と店舗スタッフが交渉する姿は、日常よく見かける光景だ。そんなお客様は、まず「これ、なんぼ?」など口火を切るわけだが、実はこれは価格交渉だけを求めているのではない。お客様の多くは、スタッフとのコミュニケーションを楽しんでいるのだ。そのお客様の気持ちを汲み取って、お客様から好かれるようになり、何度も足を運んでもらえる固定客になってもらうこと。すなわち、お客様に店舗の、そしてスタッフのファンになってもらう接客がカギを握ることになる。 J&Pテクノランドでは、「すべてのスタッフが、個人の『お得意様(ファン)』を確保している」(川井店長)と自信をみせる。お得意様の数はスタッフによって異なるが、基本的には「1スタッフあたり2ケタはいる」とのことだ。ファンになってもらう手法はスタッフによってさまざま。ときには初めて来店したお客様に対して「今回は特別に」と安く販売して、次回の来店に期待する手法も使う。
マルチメディア梅田では、定評のあるPOPとデモなど楽しませるコーナーづくりを後押しするように、各スタッフによる「お客様目線のわかりやすい説明を徹底的に行う」(濱田副店長)ことによって売り上げを伸ばしている。2万m2の売り場にあるさまざまなコーナーのスタッフは、一つのコーナーを長く担当するケースが多い。「一つの製品カテゴリに習熟したら、それに関連するコーナーに行くなど、接客の幅を広げる教育を実施している」と、スペシャリストによる的確な接客でお客様の心をつかんでいる。
LABI1なんばの築田副店長は、「高齢者への接客が大切」と考えている。それは、「いかにていねいに、しっかりと説明できるかどうかが問われる」から。高齢者のお客様は近隣に住んでいる。「暇なときにはいつでも当店にお越しいただき、スタッフを話し相手にしていただく」ことで、店のファンを確保している。
【サポート・サービス】
ポイント会員でサービスを向上
修理コーナーでトラブルを解決
家電量販店やパソコン専門店が口を揃えていうのは、大阪では購入時の特典やアフターサービスなどを重視するお客様が多いということ。各店とも、お客様がメリットを意識するサポートやサービスの提供に心を砕いている。 マルチメディア梅田では、ポイントカード会員の獲得に力を注いでおり、会員登録数は全国の店舗のなかでも群を抜いている。具体的な1日あたりの会員登録数は明らかにしていないが、「新規で購入されたお客様のほとんどが会員になってくださる」(濱田副店長)という。お客様にとっては、会員になればポイント還元による割引が受けられるほか、希望すればメールなどで有益な情報が得られる。店舗にとっては、購入履歴をもとに、最適な商品を提案できるようになる。マルチメディア梅田では、ポイントカードによる管理によって顧客満足度を高めているのだ。
パソコン工房本店は、「他店で購入したパソコンでも受けつける修理が好調」(中原副店長)という。依頼の多くは他店で対応できなかった案件で、パソコンのスキルが高いスタッフが、どんな修理に関しても対応する。「修理したほうが本体を購入するよりも高くつく場合は、修理しないものもある。そのときは自社ブランドパソコンを提案している」という。修理をきっかけに、初めてパソコン工房に来店したお客様の多くが同社のパソコンの安さに驚くそうで、「修理に比例するように、パソコンの販売も増えている」と自信をみせる。
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