家電激戦区を歩く ~ライバル激突で何が起きているのか~
<家電激戦区を歩く ~ライバル激突で何が起きているのか~>【東京・新宿】vol.3 接客・サービス ~多くの製品用途を知り尽くす 幅広い層に対応した接客・サービスへ
2012/11/01 18:44
週刊BCN 2012年10月29日vol.1454掲載
幅広い商品知識を習得
専門的な提案を追求
村元公彦店長
また、さまざまな商品に関して、より一層深い知識をもったスタッフは、フロアをまたいで接客する「コンシェルジュ」というポジションに就く。現在、コンシェルジュは5人。村元店長は、「コーナーを担当する専門スタッフと総合的なコンシェルジュによって、お客様に対してきめ細かな応対ができている」と自信をみせる。
村元店長は、店長やスタッフとして、全国の店舗を回ってきた。その村元店長は、新宿の特性を、「日本全国で、最も幅広い客層をもつ街」と捉えている。だからこそ、ヤマダ電機の他地域の店舗と比べて、「さまざまな層に対応した店舗を目指している」という。
田中伸武副店長
ビックカメラとユニクロがコラボレーションしているビックロは、これまでにない形態の店舗ということから、両社ともスタッフの質にこだわっている。ビックカメラは、女性客が多いと想定し、スタッフの40%を女性で構成。ユニクロは、外国人観光客の来店を促すために、日本語以外に、英語や中国語、韓国語で会話できるスタッフを配置しているほか、楽しめる店舗を目指して劇団員やお笑い芸人、チアリーダーなどをスタッフとして採用している。
ヨドバシカメラ新宿西口本店は、総合的に商品を扱う「マルチメディア館」で、さまざまなアイテムの知識をもつスタッフ、「カメラ館」など専門館で深い知識を習得したスタッフを配置。的確な商品を提案することで、来店者からの評価は高い。
【接客】
名刺を渡してリピーターを確保
わかりやすい説明がポイント
幅広い商品を把握しながら、一方で専門的な商品知識をもつスタッフたちは、接客についてはどこに重きを置いているのだろうか。 ヤマダ電機LABI新宿西口館は、「平日の午前中など、比較的余裕のある時間帯に来店したお客様のなかで、とくに液晶テレビや洗濯機など、大型商品をみるために訪れたお客様に対しては、製品の機能や用途をゆっくりとていねいに説明する」(村元店長)という。店内が空いている時間帯の来店者の多くは、品定めが目的だ。各製品が、「どんな機能をもっているのか」「購入すれば何が実現できるのか」などを調べるために来店している。村元店長は「接客時に購入してもらうためではなく、次回来店した際に購入してもらえるような接客を心がけている」と説明する。そして、接客が終わった際に必ず実施しているのが、お客様に名刺を渡すこと。次回ご来店いただいた際に、そのスタッフが担当すれば、お互いのコミュニケーションがスムーズに進む。お客様は、要望を再び最初から説明する必要がなくなるからだ。周辺に勤務する会社員を接客し、休日にはリピーターとして、ファミリーで来店してもらう。このようなサイクルを構築しているのだ。
ファミリーを接客するヤマダ電機LABI新宿西口館のスタッフ
ビックロでは、女性客や10~20歳代の来店が多いため、商品の機能を説明するのではなく、用途を説明する接客の仕方を重視している。ドスパラ新宿店でも、用途を重視した接客を徹底的に実施。田中副店長は、「当店に来店するお客様は、メーカー製パソコンよりも、ワンランク上の性能を求めている。こだわりのあるお客様に最適なモデルを提示することが重要」と考えている。
女性客や外国人観光客を接客するビックロのスタッフ
【サポート・サービス】
相談カウンターでまとめ買いを促進
法人ユーザーにも対応
新規購入者をリピーターにつなげるには、接客に加えて、購入前後のサポート・サービスが重要になってくる。そこで、各店舗とも来店者や購入者が気軽に相談できるカウンターを設けている。 ヤマダ電機LABI新宿西口館は、白物家電売り場である8階に「ご相談カウンター」を設置。カウンターでは、先述のコンシェルジュが活躍している。「結婚」「出産」「転勤」などをテーマに、休日にはファミリーや高齢者などがカウンターを訪れる。「商品をご購入いただくのではなく、お客様の要望に応える。それがコンシェルジュの役割」(村元店長)というのがヤマダ電機のコンセプトで、カウンターでは、「ただ相談したい」という来店者も歓迎している。もちろん、コンシェルジュも名刺を差し出すことは忘れない。
コンシェルジュが活躍するヤマダ電機西口館の「ご相談カウンター」
ドスパラ新宿店は、「御商談窓口」というカウンターを設けている。パソコンの購入が目的の来店者には、まず、ここで要望を聞いている。その後、パソコンコーナーに誘導し、実際に見ていただく。もちろん、この窓口以外でもスタッフが来店者の問い合わせに応じているが、この商談窓口で、さまざまな要望をゆっくりと聞くことによって、購入後の適切なサポートも提案できるようになったという。
御商談窓口は、個人だけでなく、法人の利用も多い。ドスパラは、「Galleria」など自社ブランドのカスタマイズパソコンが主流。だからこそ、御商談窓口で多くの要望を聞くことが、お客様の最適なパソコン購入につながるのだ。
「御商談窓口」には個人だけでなく法人ユーザーも訪れる
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