時の人
<インタビュー・時の人>Twitter Japan 代表 近藤正晃ジェームス
2012/10/11 18:44
週刊BCN 2012年10月08日vol.1451掲載
ユーザー/パートナーは順調な伸び 情報のプラットフォームを目指す
Q. 収益モデルについてうかがいたい。A. メインは広告モデルで、世界で2400社、日本でも大手企業を中心にクライアントを獲得している。また、ヤフーの検索サービスにTwitterのリアルタイムデータを提供したり、テレビ局と連携して番組にツイートできるようにしたり、多くの企業とパートナーシップを組んでいる。9月には、NTTデータがリアルタイムのデータを再販する日本初のパートナーになるなど、ビジネスは順調に推移している。
Q. 広告やアライアンスが増えるのは、強みがあるからだろうが、その強みとは何なのか。
A. Twitterの広告事業は、単に商品をアピールする「PR」ではない。140字以内で書き込む「ツイート」を活用したPRであり、さらにはツイートをフォローしてくれる「フォロワー」を増やすことでブランド認知度の向上を図ることができる。今までにはない広告として、クライアントから好評だ。ユーザーも、ツイートを活用したPRをノイズとは感じていない。パートナー企業との協業がうまくいっているのも、Twitterがユニークで、社会のトレンドをつくっているからだと自負している。
Q. 9月10日に、日本発の機能である「ライフライン」の提供を開始した。評判は?
A. 「ライフライン」の提供は、日本だけでなくグローバルで取り組むべきことだ。日本発のサービスとして提供することができたが、これは昨年3月の東日本大震災を経験したわれわれの使命だと考えている。あのとき、Twitterは情報を伝達する役割を果たしたが、ユーザーからは「できるだけ早くアカウントを検索したい」という要望をいただいた。これに応えて、「ライフライン」では、郵便番号を入力すれば簡単に検索できる機能を提供した。ユーザーの使い勝手を追求した機能に仕上げている。
Q. 改善すべき点はあるのか。
A. ロンドン・オリンピック以降、テレビ番組を視聴しながら、パソコンやスマートフォンでツイートするという2種類のスクリーンを使った「デュアルスクリーン」が盛んになっている。これに対応するために、さらにリアルタイム性をもったサービスを提供していくことが必要だ。企業や団体とパートナーシップを組んで実現したり、自社サービスとして提供したりなど、さまざまな可能性を模索している。
Q. 日本市場でどのような存在を目指していくか。
A. Twitterは、まだまだ日本で普及する。多くのユーザーが情報を収集・共有する「コミュニケーションの活性化」に加え、災害時の万が一の「ライフライン」として確保しておくべき「プラットフォーム」のような存在を目指す。
米Twitterの経営にコンサルタントとして参画し、11年3月に日本法人の代表を任された。ユニークなサービスなので伸びるとは考えていたが、代表就任の直後、東日本大震災が発生。多くのユーザーが情報収集や安否確認にTwitterを使った。単に140字以内で近況や気持ちを表現するサービスではなく、万が一のときのライフラインにもなる。日本でユーザーを増やしていく意義を感じ取ったことが、「ライフライン」の提供につながった。その意味では、東日本大震災は大きなターニングポイントだった。
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