時の人
<インタビュー・時の人>ラネクシー 常務取締役 第一ソフトウェア事業本部長 竹田昌生
2012/09/27 18:44
週刊BCN 2012年09月24日vol.1449掲載
パッケージ販売モデルを変革 ネット販売の可能性を探る
Q. 第一ソフトウェア事業本部の売り上げに占める個人向けビジネスの比率は?A. 10%程度だ。今は、法人向けのビジネスが主流で、前年比2.5倍以上の売り上げを記録するソフトがあるなど、順調に伸びている。一方、個人向けソフトは製品数が減り、厳しい状況にあることは否定できない。
Q. そのなかで、個人向けのビジネスをどのように組み立てていくのか。
A. 手法は二つある。一つは、製品名の認知度をマーケットで高めていくために、低価格で大量に販売して普及を促すこと。もう一つは、製品数を絞って一定の収益を確保することだ。今、当社の個人向けビジネスは、安売りもせず、製品も絞らないという中途半端な状況にある。これを打破するために、社内やメーカーとの話し合いを進めているところだ。本来は慎重に判断すべき事柄だが、ビジネスにスピードが求められている時代に、中途半端な状況を放置してはいられない。どちらの手法を採るのか、早急に決断する。
Q. ビジネスの方向転換は、なかなか勇気のいることだと思うが……。
A. 正直いって、無理に伸ばそうとすると、さらに減少するというスパイラルに陥ってしまう。家電量販店からも、返品が多い。この環境のなかで、ディストリビュータの立場で強引にビジネスを拡大するのは危険。製品名を知らしめるか、収益性の高い製品に絞るか、二者択一しかないと考えている。
Q. その選択は、個人向けビジネス全般にわたることなのか。
A. いや、パッケージソフトの店頭販売についてだけだ。ネット販売については、自社の通販サイトである「ラネクシーオンラインショップ」を強化するなど、さらに力を入れる。
Q. 具体的な策は?
A. 扱っている製品の組み合わせ販売だ。利用シーンを想定し、適した製品をいくつか紹介する。これは、メーカーの通販サイトではできない。さまざまなメーカー製品を扱っている当社だからこそ実現できる施策だ。また、大手通販サイトに新たな用途を提案して、取扱い量を増やしてもらうことにも取り組む。このような取り組みで、売り上げの大きな伸びは期待できないものの、利益を確保していく。
Q. 家電量販店の通販サイトとパートナーシップを組む可能性はあるのか。
A. 十分にあり得る。また、家電量販店には実店舗と通販サイトの両方をもつ強みを当社でも模索し、提案していきたい。
学生時代からソフト開発に興味をもち、技術者として社会人になった。しかし、「技術者としての未来」に悩んで退職した。
しばらくはフリーでソフトを開発。仕事を通じて、後にラネクシーとなる会社の社長から、高い評価を受けた。「今、考えると、その社長が目をつけてくれたのがターニングポイントかな」と振り返る。一度はサラリーマンの道を自ら閉ざしたが、退職届を出したのは、新卒で入社した会社の一度きり。合併で会社の雰囲気ががらりと変わった。「会社を変わったのは一度だけなのに、いろいろな会社にいた気がする」と笑う。
- 1
関連記事
ラネクシー、クラウド移行状況とデータ消失リスクについて調査レポート発表
ラネクシー、Windows向けソフトやアプリをMacで利用できる仮想化ソフト