デジタルトレンド“今読み先読み”
<量販店の年末年始の店頭動向>「提案」が販売のカギ 消費者の「知らない」にチャンスあり
2012/01/26 18:44
週刊BCN 2012年01月23日vol.1416掲載
オーディオの無線化に関心
Bluetoothイヤホンは4.5倍に
ビックカメラ有楽町店 我妻高広氏 |
もともと2階に展示していたオーディオ製品を、多くの人の目に触れる1階にもってきた背景には、スマートフォンで音楽を聴く人が増えているということがある。スマートフォンのBluetoothに対応したワイヤレススピーカーやコンポ、手持ちのイヤホン・ヘッドホンをワイヤレス化できるBluetoothレシーバーの露出度を高めることで、スマートフォンユーザーへのアピールを強化しているわけだ。オーディオコーナーの我妻高広氏によると、「お客様にワイヤレススピーカーなどを紹介すると、『こういうものがあったのか』と関心をもっていただける」と、拡販への手応えを感じている。実際、1月1~10日のアクティブスピーカー全体の売上金額は、Bluetooth対応製品が後押しして前年同期の倍。さらに、Bluetooth対応イヤホン・ヘッドホンの販売金額は4.5倍に急成長した。我妻氏は、「今後は、オーディオ製品の無線化が進んでいく。Bluetooth対応製品の売り上げはさらに伸びるだろう」と、自信を示している。
リビングのテレビを大画面に
説明と提案に力点を置く
上新電機 港北インター店 山田真樹店長 |
同店は、付加価値のある商品を提案し、体感できる売り場づくりがコンセプト。例えばLED照明は、上新電機の全国店舗のなかで最大の品揃えで、展示スペースは他の大型家電量販店と比べても引けを取らない。人々の関心が高まってきていることから、着実に販売拡大を図っていくという。また、山田店長が「20万~25万円前後と高額な商品だが、説明を聞いていただける機会が増えてきた」という洗濯乾燥機の販売拡大にも期待する。機種ごとの乾燥方式の違いや特徴を説明すると興味を示す顧客が多いことから、同社が作成した説明用パネルなどを積極的に活用し、提案を行って販売の拡大を図る。
自作PCは説明力
初心者のパーツ選びをサポート
ドスパラパーツ館 小林寛史氏 |
自作PCの初心者には、どのパーツを選べば自分の理想のPCができるのかがわからない。こうした状況に対応し、「CPUソケットならインテルの『LGA1155』がラインアップが豊富なので、まずは低価格モデルから試して、後からステップアップすることもできます」(PCコンシェルジュの小林寛史氏)といったように、顧客の相談に乗りながら商品選びをサポートしている。小林氏は、「『LGA1155』はトレンドになっていて、初心者にも人気が高い」と、今後の販売拡大にも期待を示している。
各店に共通しているのは、来店者への提案が販売につながっていること。引き続き、スマートフォンなどのハードウェアや節電のムーブメントはキーワードになるが、消費意欲を喚起するには、これらをより便利に、快適に使うための提案が重要となる。デジタル、白物家電ともに多機能化し、多くの機能をすべて使いこなすのは難しい。消費者への提案力は販売拡大のカギを握る。(田沢理恵)
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