店頭流通
2012年の注目製品はコレだ(下)──日常生活に溶け込むデジタルデバイス
2012/01/12 16:51
週刊BCN 2012年01月09日vol.1414掲載
<電子書籍>「Reader」は読書家に訴求 タブレット端末の拡大は試金石
2011年は、ソニーがモノクロの電子書籍専用端末「Reader」の新モデルでWi-Fiや3Gに対応。PCを介さずに電子書籍が購入できるようになり、幅広い層の読書家を獲得する起爆剤になりそうだ。さらに、コンテンツの販路を拡大し、自社のオンライン書店「ReaderStore」だけでなく、楽天市場の「Raboo」や紀伊國屋書店の「BookWeb Plus」での展開を始めた。一方、10年12月に専用端末「GALAPAGOS」で参入したシャープは、11年8月にOSをAndroid 2.3に変更。汎用機に姿を変え、コンテンツサービス「GALAPAGOS STORE」もアプリを利用すればAndroid搭載端末で利用できるようになった。ソニーと方向は異なるが、市場拡大に向けてAndroidユーザー獲得に乗り出している。専用端末は、日本では今のところソニーの「Reader」や、KDDIの「biblio Leaf」が中心だが、すでに日本語に対応しているアマゾン「Kindle」の正式投入は時間の問題だ。活性化の起爆剤として期待される。タブレット端末は、iPadを含めて電子書籍リーダーに特化しているわけではないので、本体の重さや文字の視認性、バッテリのもちなど、快適な読書を楽しむための機器としては課題が残る。しかし12年は、Android OS搭載タブレット端末の普及が期待されている。汎用機が拡大することで、電子書籍に対する人々の関心や認知度を高め、普及への布石になるだろう。
<ミラーレス一眼カメラ>大手6社の投入で活況 課題は交換レンズの価値訴求
パナソニック、オリンパス、ソニーに続き、ペンタックス(ペンタックスリコーイメージング)とニコンの参入で活気づいた2011年のミラーレス一眼カメラ。BCNランキングでは、おおむね2ケタ成長を維持し、デジタルカメラのけん引役になっている。春に参入を予定する富士フイルムを加えると、12年は6社から新製品が登場することになる。キヤノンやカシオ計算機は、現段階では参入の意向を示していないが、12年は製品数の拡大でさらに活気づくことは間違いない。ミラーレス一眼カメラは、一眼レフカメラよりも小型・軽量で、こだわりのある写真が撮影ができることから、一眼レフユーザーのサブカメラとして、また、コンパクトでは物足りなくなった一般ユーザーのステップアップ機として人気が高い。各社は、女性を意識したカラーバリエーションを投入するなど、女性や初心者層など、新たなユーザー層の獲得を狙った商品展開に積極的だ。
一方、課題は初心者への交換レンズの訴求。初心者層は、交換レンズの敷居の高さから、本体とパッケージ化されたレンズキットを選ぶ傾向にあるが、撮影ニーズに合わせてレンズ選びが楽しめるようにすれば、さらに満足度が高まる。マニア以外にもわかりやすいレンズスペックの訴求で、さらに需要が喚起されるだろう。
<Bluetooth対応製品>Bluetoothに追い風 配線からの解放に脚光
スマートフォンの普及が追い風となって、2011年はBluetooth対応のスピーカーやキーボード、ハンズフリー通話ができるヘッドセット、ステレオヘッドホン・イヤホンが伸びた。ケースやカバー、液晶保護フィルム、バッテリなどが並ぶスマートフォンアクセサリ売り場には、Bluetooth対応製品が登場し、人気が高まっている。12年は、11年に続いてエレコムやバッファローコクヨサプライ、ロジクールなどの周辺機器メーカーや、ヘッドセット、ヘッドホン・イヤホンメーカーがラインアップ拡充に力を入れる。また、ソニーは、11年秋以降に発売した「ウォークマン」全機種でBluetoothを搭載し、ワイヤレス音楽再生に対応した。「Sシリーズ」にはBluetoothイヤホンが付属するモデルをラインアップし、音楽をワイヤレスで聴く利便性の訴求に力を入れている。
12年は、スマートフォンと周辺機器、スマートフォンとテレビやレコーダーなど、各機器が「ワイヤレスでつながる」ことが一つのキーワード。製品の大小にかかわらず、配線から解放されることはユーザーにとっては大きなメリットだ。スマートフォン・タブレットで、音楽やワンセグなどのテレビ音声を聞く人が増えているなか、有線が主流のヘッドホン・イヤホンのワイヤレスニーズが高まっていくだろう。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
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