デジタルトレンド“今読み先読み”

Bluetooth接続のワイヤレスキーボードが急伸 タブレットやスマートフォン人気で

2011/11/10 18:44

週刊BCN 2011年11月07日vol.1406掲載

 Bluetooth接続のワイヤレスキーボードが人気を呼んでいる。「BCNランキング」で、Bluetoothキーボードの2009年9月の販売台数を1として指数化すると、10年9月は4.6、11年9月は8.5まで拡大している。ワイヤレスキーボードの接続方式は、27MHzや2.4GHz、Bluetoothの3種類があり、主流はPCに小さな受信機を差して使う2.4GHz方式だが、Bluetoothを標準搭載する機器が普及しつつあることが後押ししている。とくに、タブレット端末やスマートフォンのソフトウェアキーボードでの入力に不満を抱く層が、使い慣れたハードウェアキーボードに流れている状況だ。


シェアはエレコムが5割前後 ソフトウェアで差異化

 「BCNランキング」のBluetooth接続キーボードのメーカー別販売台数シェアで、トップを走るのはエレコムだ。2010年4月にスマートフォン「Xperia」、5月「iPad」、6月「iPhone 4」と、Bluetooth対応デバイスの発売が続くなか、エレコムは8月にAndroid搭載スマートフォンや、iPhone 4、iPad、Windows PCに対応する折りたたみ式Bluetooth接続キーボードを投入。キーボード市場で新たなユーザーの獲得に成功した。


 その製品「TK-FBP017BK」は、キーボードとしては最高価格帯である2万円を超えていた。エレコム広報によれば、「はたして1万円を超えるキーボードが売れるのか、心配したが、予想を上回る売れ行きだった」という。今年8月には、Android対応の新製品「TK-FBP018」の天板をブラック、ホワイト、ピンクの3色で展開するなど、ラインアップの強化を図っている。

エレコム「TK-FBP018」

 エレコムは、独自のソフトウェアによって、Bluetoothプロファイル「SPP(Serial Port Profile)」で、Android搭載スマートフォンに対応したことや、今年10月から「TK-FBP018」でジャストシステムの日本語入力ソフト「ATOK」に対応するなど、「ハードウェアだけでなく、ソフトウェアの強化で差異化する」(広報担当者)というコンセプト。今後もトップの座を維持していく自信を示している。

2位バッファローコクヨと3位ロジクールも一気に攻勢

 シェア2位のバッファローコクヨサプライは、今年3月発売のコンパクトキーボード「BSKBB01」で、Bluetooth接続キーボードのシェアが急伸。3月に3.7%だったシェアを、9月には16.1%まで引き上げている。9月時点の製品別ランキングでは、「BSKBB01」が10.7%でトップを獲得している。

バッファローコクヨサプライ「BSKBB01」

 マーケティング部商品企画グループの杉山基氏は、「スマートフォンやタブレット端末の登場で、インターネットがどこでも楽しめるようになった。しかし、小さなタッチパネルで文字を入力するにはストレスがたまる。そこで、キーボードを持ち歩くという発想が生まれた。今後は、カバンに入れて手軽に持ち歩けるコンパクトサイズのキーボードが増えていくだろう」として、コンパクトなBluetoothキーボードのラインアップを充実させていく。「キラーアイテムの開発を進めて、来期はメーカーシェアNo.1を狙う」と鼻息が荒い。

 9月に12.5%で3位に入ったロジクールも攻勢をかける。同社は、8月に19mmのキーピッチで、iPadを置いて角度調節ができるスタンド兼カバーなどを備えた「TK600」と、ケース・スタンド・キーボードの一台三役をこなすモバイル向けの「TK700」を発売。さらに10月には、フルサイズキーボードを折りたたんで収納できる「TK900」を追加投入した。いずれもiPadでの利用に特化した製品で、滝澤正昭・マーケティングコミュニケーションスペシャリストは、「スマートフォンやAndroid向け製品は検討中」としている。販売戦略は、「取扱店を大幅に増やすことで拡大していく」と、近い将来、1500店舗での展開を視野に入れる。

ロジクール「TK700」「TK900」

 タブレット端末やスマートフォンは、タッチパネルで直感的に操作できることが特徴の一つ。しかし一方で、長文メールの入力や、SNSへの投稿などをタッチパネル上のキーボードで操作することに不便を感じるユーザーは多い。とくにiPadは、モバイルPCのように利用しているユーザーが少なくない。Bluetooth接続キーボードは、タブレット端末やスマートフォンの普及拡大とともに、さらに人気が高まっていきそうだ。(田沢理恵)


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