時の人

<インタビュー・時の人>ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ 代表取締役社長 仲井一雄

2011/10/20 16:51

週刊BCN 2011年10月17日vol.1403掲載

 昨年4月、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズがAndroid OSを搭載した「Xperia SO-01B」を発売し、国内スマートフォン市場が本格的に立ち上がった。現行の「Xperia acro SO-02C」や「Xperia acro IS11S」を中心に、同社の端末は常にBCNランキングの上位に入っている。Android端末の先駆者としてスマートフォンのメリットを訴え続けてきた仲井一雄社長に、今後の戦略を聞いた。(取材・文/佐相彰彦)

先駆者としてAndroid端末をけん引
競争を“ソニーグループらしさ”で勝ち抜く

Q. 「Xperia SO-01B」を発売した昨年は、どのような年だったか。

A.
 スマートフォン事業に新しく着手したということで、試行錯誤の年だったという気がする。 


Q. 先駆者ならではの苦労ということか。

A.
 「Xperia」シリーズを国内で発売した4月時点では、まだ市場にAndroid OSというものが根づいていなかったので、Android OSを搭載したスマートフォンのメリットを訴えることに力を注いだ。年末に他社が相次いで新端末を発売し、一気にマーケットが広がった。今年は勝負の年になっている。

Q. 「Xperia acro SO-02C」「Xperia acro IS11S」が順調で、さらに「Xperia ray SO-03C」の発売や「Xperia PLAY SO-01D」の発表など、今年は話題が多い。

A.
 新製品を次々に投入していることで、パートナーであるキャリアや家電量販店の反応は非常にいい。なかでも「Xperia acro SO-02C」は、きちんと結果を出しており、高い評価をいただいている。

Q. 現在はどのような状況か。

A.
 多くのスマートフォンが市場に出ていること、またそれに伴って家電量販店が積極的に売りに出ていることを考えると、改めてブランド力を強化しなければならないと思っている。パートナーとの関係をさらに深めることが重要になる。

Q. 具体的に、どのような活動を展開しているのか。

A.
 「ラストワンマイル」との言葉があるように、お客様が店頭で「Xperia」を手に取り、気に入っていただけるよう、家電量販店へのサポートを強化している。店員向けの勉強会を頻繁に実施し、ラウンダーを増やして積極的に店頭へと足を運んでいる。このような地道な取り組みが、お客様のニーズを満たす次の製品につながっている。

Q. 先駆者として市場を引っ張っているが、課題は何か。

A.
 昨年と違って、今は多くの端末メーカーが参入している。なかでも韓国などの海外メーカーに勢いがある。今後は、し烈な競争で厳しい状況になることもあるだろう。そこで、さらに“当社らしさ”を出さなければならないと考えている。その一つは、「ソニーグループ」ということ。「Xperia」をソニーブランドのテレビやタブレット端末とつなげたり、アプリやコンテンツを充実させたり、グループとして連携し、そのメリットを打ち出していく。

Q. 今年の目標は?

A.
 秋冬商戦は、昨年同様、市場は爆発的に伸びるだろう。そのなかで、Androidスマートフォンを他社に先駆けて発売したスタンスを忘れずに、お客様が求める先を行く製品を投入していく。

・Turning Point

 ソニーで、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールに赴任。「海外赴任生活が長いので、ターニングポイントはたくさんあった」という。常に会社から「挑戦」を課せられたが「どれもいい経験」と振り返る。

 01年のソニー・エリクソン設立のとき、アジア太平洋地域を統括する長としてシンガポールに赴任したのが、最大の転機だったという。少数精鋭のメンバーとともに、組織、ブランド、商品、販路、売り方など、すべてを一から立ち上げ、多くの課題を克服した。「今年10周年を迎える当社の基盤づくりに貢献した」と自負している。
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