時の人

<インタビュー・時の人>サムスンテレコムジャパン 端末営業部長 オウ チャンミン

2011/10/06 16:51

週刊BCN 2011年10月03日vol.1401掲載

 国内スマートフォン市場が拡大するなかで、海外メーカーの勢いが増している。その代表が、「GALAXY」で一気にシェアを獲得しつつあるサムスンだ。サムスンテレコムジャパンの呉昌珉(オウ チャンミン)端末営業部長は、それでも「まだまだ知名度が低い」と現状に満足していない。消費者が納得する製品で顧客満足度を高めていきながら、オリジナリティのあるプロモーションで「GALAXY」を一気に広める──。「『ユーザーが増えるサイクル』をつくる」と話す呉部長に、その戦略を聞いた。(取材・文/佐相彰彦)

顧客満足度を高めて「GALAXY」ブランドを浸透
「ユーザーが増えるサイクル」をつくる

Q. 「GALAXY S II SC-02C」をはじめ、サムスン製スマートフォンに対する市場の反応はどうか。

A.
 「GALAXY S II SC-02C」は、6月23日の発売以降、キャリアや家電量販店がスマートフォンを代表するモデルの一つとして注目してくれている。そのおかげで、販売は非常に順調だ。多くの家電量販店で常に人気機種トップ3に入り、担当の店員さんからも「多くの来店者が手に取っている」との話を聞く。顧客満足度も高く、家電量販店が「売りやすいモデル」と認識している。 


Q. キャリアや家電量販店とさらにパートナーシップを深めるために、何を行っていくのか。

A.
 魅力のある製品を出し続けていくことに尽きる。付け加えるとすれば、発売後は人気に応えて十分に製品を提供できる出荷体制が重要だ。地道ではあるが、確実な取り組みによって、キャリアや家電量販店との信頼感を深め、お客様に満足していただこうと考えている。

Q. これからの国内スマートフォン市場をどうみているのか、見解を聞かせてほしい。

A.
 昨年と比べて、多くの端末メーカーがスマートフォン市場に参入し、製品数は増えている。この状況は、まだまだ続くだろう。市場が拡大していくことは間違いない。

Q. 拡大傾向のなかで、どのような課題があるのか。

A.
 「GALAXY」というブランドは、徐々にではあるが消費者に知られるようになってきた。しかし、当社は、日本では後発の端末メーカーで、まだまだ知名度が高いとはいえない。現状の知名度に満足することなく、さらにブランドを認知してもらう策を講じなければならない。

Q. その策とは?

A.
 何よりも「GALAXY」をもっと多くの人に知ってもらい、興味をもってもらい、手にとってもらい、そして購入してユーザーになっていただく「サイクル」をつくることだ。そのためには、よい製品を出していくのはもちろんだが、プロモーションがポイントになってくる。一つの例が、7月15~17日の3日間にわたって行った、ユーザーのメッセージが宇宙に届く「Space Balloonプロジェクト」だ。これに合わせてキャンペーンも実施した。このように、オリジナリティのあるプロモーションで、製品を知っていただく活動を行っていかねばならない。

Q. ビジネスの目標は?

A.
 売上規模など、数字は申し上げられないが、とにかく「GALAXY」を購入してくださったお客様が満足することが最も重要だ。ユーザーの満足は周囲の人に口コミで伝わり、必ず次の購入につながると確信している。加えて、プロモーションでブランドを知っていただく──ユーザーが増えていくサイクルづくりにチャレンジするのが当面の目標だ。

・Turning Point

 米国市場を担当していたとき、日本市場を兼任のかたちでみることになった。半年間の期限付きだったが、半年が過ぎたとき、日本法人への転任を命じられた。1995年2月のことだ。「日本のことをまったく知らなかった」と振り返る。日本の文化や風習を覚えながら、日本でのビジネス拡大に力を注ぐ日々。「死ぬ覚悟で臨まなければ」と、無我夢中だったという。

 自分にとって、あたりまえになった「知らないからこそ、何にでもチャレンジする」という姿勢は、いま、サムスンテレコムジャパンにも根付きはじめている。
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