時の人
<インタビュー・時の人>ハイセンスジャパン ゼネラルマネージャー イン・チャンソン
2011/08/25 16:51
週刊BCN 2011年08月22日vol.1395掲載
日本人が認める製品を提供
品質の追求でブランド定着を目指す
Q. 昨年11月4日に日本法人を設立し、9か月が経過した。現在のビジネスはどのような状況か。 A. とにかく高品質な製品を投入しようと取り組んでいる。お客様や販売パートナーからいただいたさまざまなお問い合わせやご要望を精査して、当社の技術者が開発できるか、対応できるかを判断。可能と判断したら中国本社に報告して、開発に取りかかる。
Q. 具体的には、どのような要望がきているのか。
A. デザインに関しては、「(日本メーカーの製品と比べて)スタンドが小さくて不安定」「カラーバリエーションが少ない」というものがあった。また、「(価格が安いが)性能は大丈夫か」という問い合わせもあった。当社の製品は、日本メーカーの製品と比較されるケースが多い。競争で勝つには、品質を追求しなければならない。
Q. 中国製品だから、比較されるということ?
A. それもある。また、日本の家電量販店では、小型液晶テレビはさまざまなメーカー製品が並ぶ「テレビコーナー」に置かれるケースが多い。当社が日本で出しているテレビは、多くのメーカーが参入している32インチ以下で、より多くの競争相手と比較される。そのなかで、知らないブランドということで不安を抱く消費者がいるのだろう。
Q. 品質を追求すれば不安を解消して拡販できる、と。
A. 日本市場のニーズに合った製品を開発すれば、世界でも必ず通用する。その意味でも、品質を追求しなければならない。また、高品質であれば消費者が安心して購入できる。その循環は、いずれはブランド力の向上にもつながる。
Q. ブランド認知度はまだ高いといえないが……。
A. 派手なプロモーションを展開したり、奇抜な製品を出して目立つことがいいとは考えていない。基本がしっかりとしていて、細かい部分まで高品質にこだわっている製品に、消費者は満足を感じると確信している。
Q. 製品を拡販するために、販売ルートの増強は視野に入れているのか。
A. 今はない。現在、ノジマさんと上新電機さんに当社製品を販売していただいており、この2社とパートナーシップを深めることに力を入れる。当社の製品開発に関する考え方を伝え、理解していただき、売り方を一緒に模索していく。そのような関係を築きたい。
Q. ポスト地デジの日本市場をどう捉えているか、教えてほしい。
A. テレビの需要が激減するとの見方があるが、必ずしもそうはみていない。買い替え・買い増し需要は必ずある。買い増し需要では32インチ以下が主役になるとみており、そのなかで、日本のニーズに合った製品で、われわれのブランド力を高めていく。
前職でアフリカに赴任した。大学で会計学を専攻したこともあって、社会人になったときは経理部門に配属になったが、2003年、異国でのオフィス立ち上げに参画するようにいわれたのだ。「それまでは社内業務が中心だったので、自分に何ができるのか、不安だった」と振り返る。
ところが実際に赴任すると、「オフィス立ち上げに際しての『経営』に興味をもつようになった」という。その後、ハイセンスに入社し、イタリアオフィスの立ち上げを任された。そのノウハウを生かして、今は日本での事業拡大に力を注ぐ毎日だ。
- 1