デジタルトレンド“今読み先読み”
地デジ化アフターマーケット サラウンドシステムへの追い風が続く
2011/08/18 16:51
週刊BCN 2011年08月08日vol.1394掲載
ソニーは他社テレビとの連携を訴求
「BCNランキング」によるサラウンドシステムの販売台数は前年比2ケタ増を示し、地上デジタル放送完全移行を背景にしたテレビ特需と連動するかたちで伸びてきた。サラウンドシステムのユーザーは、これまではホームシアターファンやオーディオファンが中心だった。しかし、テレビの薄型化はスピーカー音質の低下を招き、それまで音にあまりこだわらなかった人がもの足りなさを感じはじめたことで、ユーザー層が拡大している。地デジのコンテンツやBDタイトル、ゲームなど、サラウンド対応のコンテンツが増えてきたことで、音質への注目度が高まり、一般のテレビユーザーの需要を喚起した。油井薫 マーケティング マネジャー |
家電量販店のテレビ売り場では、シャープ、ソニー、パナソニックが、自社のテレビやレコーダーとラック型スピーカーを組み合わせることで、リモコン操作の連動などの利用提案によってアピールする動きが目立っていたが、ソニーが6月に発売した「RHT-G10」などは、他社製機器との連動を訴求。オーディオメーカーとして、多くの人にいい音質を味わってほしいとの思いが製品になった。ソニーマーケティング・ホームオーディオ&エンタテインメントMK課の油井薫・マーケティングマネジャーは、「音質への妥協は一切せずに、従来に比べて1万~2万円程度、価格を下げた」と製品への自信をみせる。ホームシアターの敷居を下げて、一般ユーザーへのアプローチを強化しているのだ。
専業メーカーも一般層の開拓を強化
AV営業部営業企画課 山本誓一氏 |
オンキヨーマーケティングジャパンAV営業部営業企画課の山本誓一氏は、「ユーザーのすそ野が広がるとともに、ニーズも多様化している。そのニーズに応えて、当社はラック型やスリムタイプのバー型、ポール型を投入してきた。ここ1年ほどは、2.1chホームシアターパッケージのエントリーモデルを購入した一般のユーザーが、拡張スピーカーを追加購入する傾向が出てきている」という。山本氏は、「手軽にグレードアップできる当社の製品が受け入れられている。テレビの需要が一巡したこれからが、音響メーカーの出番。音質で勝負してきた強みを発揮できる」と意気込む。
藤井陽介 プロダクトマネジャー |
薄型テレビの普及によって、「いい画を見ると、いい音が聞きたくなる」というニーズが顕在化するなかで、サラウンドシステムは、地デジ化アフターマーケットとしての大きなポテンシャルをもつ。「ホームシアターは特別なもの」というイメージを払拭することが、市場拡大のカギとなりそうだ。(田沢理恵)
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