デジタルトレンド“今読み先読み”
<PC>改めて省エネ性能を訴求 買い替え後押し狙う
2011/06/09 16:51
週刊BCN 2011年06月06日vol.1385掲載
ピークシフト機能を個人向けPCに展開
震災後の電力供給不足を背景に、消費のカギを握るキーワードになった「節電」。PCメーカーも、買い替えを後押しするキーワードとして重要視している。メーカーは、液晶の輝度を下げる機能や消費電力量が目に見えるソフトを搭載するなど、これまでも各社独自の消費電力抑制機能を搭載してきた。NECパーソナルプロダクツの栗山浩一・PC事業本部商品企画開発本部長代理は、「節電への関心が高まるなかで、新たに消費電力を可視化するソフトや、ディスプレイの輝度を抑えるなど、ワンタッチで節電する『ECOボタン』搭載機種を増やした」と説明する。
また富士通はノートPCの新製品に、これまで企業向けモデルで提供していた電力需要ピークタイムの電力消費を抑制する「ピークシフト機能」を提供している。東芝も、企業向けに提供してきたソフトを一部機種に提供する。それぞれのウェブサイトから対応機種にソフトをダウンロードすることで、ピークタイムに自動でバッテリ運用に切り替える機能だ。
PCの駆動そのものも、古い機種に比べると年々省エネ化しており、各社は、古いモデルから新製品に買い替えることが節電につながることを訴えている。富士通の齋藤邦彰・執行役員兼パーソナルビジネス本部長は、「20型液晶一体型デスクトップPCを6年前のモデルと比較すると、約81%の節電効果がある」と強調。NECは、「新製品は約60%省エネ化を図っている」として、発表会で、実際に5年前のモデルと最新モデルの消費電力を比較するコーナーを設置してアピールした。
基本性能の向上と省エネで
XPユーザーの買い替え促進
各社がキーワードにする「地デジ」機能では、東芝が6月上旬に発売するAVノートPC「dynabook Qosmio T551/T6C」で、約5時間のテレビ視聴に対応。停電時でも、長時間テレビを見ることができる機能を備えた。富士通は、NECに続いて、アンテナをワイヤレス化したノートPC「LIFEBOOK AH52/DA」をラインアップに加えるなどして、攻勢をかける。 今夏の電力不足を乗り切るために、政府は東京電力と東北電力の管内全域で、家庭を含めて15%の電力抑制を目標に掲げている。震災前は、消費者の節電への意識は、エアコンや冷蔵庫など、生活に密着した家電から広がっていた。震災でさらに高まる消費者の節電意識を、各社とも、今度はPCでも受け止めようという思惑だ。量販店でも、例えばビックカメラ有楽町店のPCコーナーは、「地デジ」と「節電」をテーマに掲げて訴求している。
PCの買い替えサイクルは、5年から5年半といわれる。NECパーソナルプロダクツの栗山本部長代理によると、「PCユーザーの4割がまだWindows XPモデルを使っている」という。「地デジ」や強化した基本性能とあわせて、新製品への買い替えが「節電」につながることを訴求して、XPユーザーの買い替えに弾みをつけたいところだ。(田沢理恵)
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