時の人
<インタビュー・時の人>NTTぷらら 社長 板東浩二
2011/06/02 18:44
週刊BCN 2011年05月30日vol.1384掲載
ショッピングビジネスを本格スタート
将来はコアの一つとして確立する
Q. 「ひかりTV」開始後、着実に会員数を伸ばしている。いろいろな映像配信サービスがあるなかで、「ひかりTV」の強みは何か。A. 「ひかりTV」は、NTTの光インフラを活用した新しいサービスの一つとして、3年前にスタートした。映像配信サービスのなかでは後発だが、参入当初からハイビジョンを想定したプラットフォームでスタートしているので、多チャンネルのハイビジョン化率にも優位性がある。現在提供している全94チャンネルのうち、70%以上がハイビジョンだ。また、映像配信サービスの本命とみているVOD(ビデオオンデマンド)サービスにも自信がある。月額2500円(税込2625円)で、現在、対象コンテンツ7000本が見放題のプランを設けている。とくに連続ドラマや長編のアニメなどは、1本ずつ支払うペーパービューを利用するよりも使い勝手がいい。VODの利用状況は、この半年ほど、ものすごい勢いで上昇している。またVODのマーケットも急激に確立しつつある実感がある。このほか、4~5年をかけて開発に取り組んだメニューの切り替えの高速化や、検索画面の操作性にも自信がある。
Q. 4月から、ジャパネットたかたとともに、ショッピングサービスを開始した。この狙いは?
A. 昨年からトライアルでスタートしたショッピングビジネスを、今年度から本格的に展開する。ジャパネットたかたと提携して開始した「ジャパネット楽々リモコンショッピング」は、その一つ。リモコン操作で、番組で紹介している商品の選択や注文ができる。引き続き、他社との連携を推進するとともに、当社が商品を仕入れて販売している「ひかりTVショッピング」の商品ラインアップの拡充にも力を入れていく。PC向けのEコマース市場が拡大したが、テレビのもつ情報伝達性を生かして、映像で商品を説明しながら販売するビジネスに将来性があるとみている。ショッピングビジネスは、今後、「ひかりTV」のサービスの一つという位置づけではなく、ISP(インターネット接続サービス)事業、IP電話事業、映像配信サービス「ひかりTV」と並ぶコア事業として確立していくつもりだ。
Q. スマートフォンやタブレットの人気が高まっている。これらの端末で「ひかりTV」を利用したいというニーズもあるのではないか。
A. 外出先で映像が見たいというニーズに対応し、近々、3GやWi-Fiなどの通信を使って、スマートフォンやタブレット端末でもVODが視聴できるようにする。テレビで見ていたVODの続きが他のデバイスで見られるようにしていきたい。また、将来はこれらの端末でもショッピングができるようにしたい。
板東浩二氏が社長に就任したのは、NTTぷらら設立から3年後。当時のNTTぷららは、キャッシュはそこそこあったものの、毎月多額の赤字を垂れ流していた。半年で立て直さなければ、会社を清算しなければならないという状況まで追い込まれていた。就任直後は「眠れない日が続いた」という。まずは問題点を洗い出し、コストカットに着手。そして、最終的には黒字転換を果たした。社長に就くまでは「平凡なサラリーマンだった」という氏にとって、赤字経営からの脱却は、まさしくターニングポイントとなった。
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