デジタルトレンド“今読み先読み”
拡大続くネット通販市場 大手各社が向かう次のステージ
2011/02/17 18:44
週刊BCN 2011年02月14日vol.1370掲載
サイトリニューアルで
リアルとネットの流通を一本化
ケーズ ホールディングス 塩康隆課長 |
新サイトでは、注文された商品をユーザーの居住地近くの実店舗から配送する。本部から指令を受けた店舗は、その店舗の在庫を梱包して配送する。売り上げは、その店舗につくことになる。全国356店(1月末現在)の店舗網と、在庫管理システムを活用することで、倉庫を拡張せずに、効率よくネットの受注に対応できるオペレーションを目指す。
「ケーズデンキ オンラインショップ」は1月20日にリニューアル。4月に新サイトが本格的にスタートする |
利用者にとってのメリットは、(1)商品が早く届く(2)近くの店から届いたという信頼感・安心感(3)返品する場合は店に持っていけばよいなど、アフターサービスへの安心感――。従来通り、実店舗でファミリー層を獲得するとともに、ネットでは若者を取り込んでいくことで、リアルとネットの顧客の相互補完を狙う。さらに、6月頃をめどに仮想商店街への出店も計画するなど、ケーズデンキはネット通販の強化に本腰を入れていく。
関連商品の拡充で
新規ユーザーをつかむ
一方、ネット通販専門のムラウチドットコムは、PCやデジタル家電、白物家電から派生する関連製品の拡充によって、ユーザーの拡大を図っている。同社は、前身のムラウチオンラインストアの時代、ネット通販の黎明期から取り組んできた老舗。プリンタやスキャナ、PCパーツなどからビジネスを始めたが、現在はPC関連、AV関連、家電の三本柱で商品を展開する。ここ数年は、家電商品と関連性が高い家具や雑貨が全体の販売を押し上げている。 例えば、検索エンジンで「ラック」を検索してムラウチドットコムに訪れた人が他のページを見て家電製品を購入したり、調理家電の購入を目的に訪れた主婦がフライパンやまな板も一緒に購入するなど、相互のページ遷移による相乗効果が根づいてきたのだ。矢澤克哲取締役営業担当は、「この取り組みを強化した05年~06年頃から、ユーザーのすそ野が広がってきた」と手応えを語る。「やみくもに商品を増やすわけではなく、関連商品を拡充していくことで、近隣にお店がない地域のお客様にも便利に使っていただいている」と、自信を示す。
ムラウチドットコム 矢澤克哲取締役 |
ネット通販市場がたどってきたこの10年は、PCとインターネットの普及を背景に、ITの技術力や価格競争力が勝負を決め、ユーザーは利便性を享受してきた。しかし、多くのネット通販サイトが溢れる今、ユーザーは他社にはない特徴や利用するメリットを明確に求めるようになってきている。ネット通販各社は、次のステージに向かって走り出している。(田沢理恵)
リニューアルで“つながり感”を演出する
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