時の人

<インタビュー・時の人>オンキヨーマーケティングジャパン 代表取締役社長 大瀧正気

2011/01/20 16:51

週刊BCN 2011年01月17日vol.1366掲載

 オンキヨーは、「BCNランキング」のサラウンドシステム部門で、2010年のメーカー別販売台数シェア1位を表彰する「BCN AWARD 2011」最優秀賞を獲得。7年連続受賞という栄誉に輝いた。10年12月にグループの事業を分割・子会社化し、AV機器・PCの国内販売を管轄するオンキヨーマーケティングジャパンが誕生した。薄型テレビと組み合わせるサラウンドシステムの施策を中心に、大瀧正気社長に聞いた。(取材・文/井上真希子)

オーディオ機器、復権の一年に
ONKYOブランドの価値創造を強化

Q. オンキヨーを持ち株会社にした狙いは。

A.
 AV機器やPC、OEMなど、事業ごとに分社化することでビジネスの効率を高め、グループ全体の成果を生むことが目的だ。オンキヨーマーケティングジャパンは、AV機器とPCという異なる領域の製品の国内販売を担当している。これまで培ってきた各製品の販売のノウハウを量販店の売り場に生かし、他社とは異なる見せ方をしていく。それが、当社ならではのメリットだと考えている。実は、店頭施策の融合というのは難しいのだが、地道に取り組んでいくことで新規顧客を開拓し、オーディオブランド「ONKYO」の価値をユーザーに提案していきたい。


Q. 2010年12月の家電エコポイント制度改定による駆け込み特需など、サラウンドシステムの市場は薄型テレビの動向に影響を受けるが……。

A.
 エコポイント特需は、薄型テレビに集中した。サラウンドシステムは好調だったものの、量販店の売り場では性能を十分に説明しきれていなかった。しかし、テレビを購入した後には、「高音質」へのニーズが高まる時期が来ると確信している。ユーザーはテレビとサラウンドシステムの価格の比率をシビアにみているので、値頃感は出したいと思っている。

Q. サラウンドシステムは、複数メーカーのつばぜりあいが続いている。オンキヨーの強みは何か。

A.
 「音質」と「購入しやすい価格」だ。製品の形状としては、複数のスピーカーを個別に置く「セパレート型」、薄型テレビの下部に設置する「バー型」、テレビの左右に立てる「タワー型」、テレビ台を兼用する「ラック型」の4種類を展開しており、豊富なラインアップに自信をもっている。現在、売り場に当社の占有スペースを設けて、形状別に製品を展示することを検討中だ。さらに、量販店と協力して、土日に視聴体験イベントを実施することも予定している。当社の販売チャネルの多くを占める家電量販店での店頭施策を工夫することで、11年はサラウンドシステムの販売金額で前年比130%を目指す。

Q. 今後の目標を聞かせてほしい。

A.
 オーディオ機器は、HiFi(High Fidelity:高再現性)コンポに力を入れて、「オーディオ機器メーカーらしさ」を追求したい。現在、オーディオ機器市場は縮小しており、メーカーとして何の製品を売っていくのかが問われるステージに差しかかっている。また、市場では高級モデルと低価格モデルの二極化が進んでいる。そこで、本格的なオーディオを求めるユーザーに製品のよさを認められることで、すそ野を広げていきたい。具体的には、10年12月に発売したプリアンプとパワーアンプ、CDプレーヤーを分離した「P-3000R」「M-5000R」「C-7000R」のような中級機に注力していく。

・Turning Point

 以前、オーディオ機器メーカーでマーケティングを担当していたとき、コンポの性能が各社横並びで、差異化しにくい状況だった。そこで、スペックではなく、これまで重視してこなかったデザインに目を向けた。ユーザーアンケートで「部屋のインテリアに合う」と10代女性から人気を集めたのが、カラーバリエーションをもつモデルだった。当時、オーディオ機器のターゲットは男性中心だったが、アンケートをもとに4色を揃えるモデルを製品化。カラーと連動した華やかな売り場づくりを展開した結果、爆発的に売れた。「ユーザーの価値に合う製品を提案すれば受け入れられる」ということを学んだ。
  • 1

関連記事

オンキヨー “音の楽しさ”を伝えるソリューション構想

オンキヨー ONKYOブランドで個性派PC目指す