店頭流通

PFU 「Scan Snap」が前年比2倍の勢い クラウド連携でユーザー拡大目指す

2010/10/21 18:45

週刊BCN 2010年10月18日vol.1354掲載

 PFU(輪島藤夫社長)のシートフィード型スキャナ「ScanSnap」が、販売を伸ばしている。今年6月の販売台数は前月比2倍に拡大。5月にアップルがiPadを発売したことをきっかけに、紙書類をデータ化する機運が高まってきたことが追い風となった。今後はクラウドサービス企業との連携強化を図り、ユーザー拡大を目指す。

松本秀樹部長
 PFUの「ScanSnap」は、同時に複数枚の書類を取り込むことができるシートフィード型スキャナ。書類を電子化して管理する用途を中心に、主に30~50代のビジネスマンをユーザーとしてきた。HDDの大容量化によって、サイズの大きい画像ファイルが保管しやすくなったことや、データを取り扱うネットワーク環境が向上してきたことで、「年々販売台数が伸びてきていた」(松本秀樹・パーソナルビジネス営業部長)という。さらに、5月のiPad発売で、6月の販売台数は前月比2倍と飛躍的に伸びた。

 今年に入って、iPad/iPhoneを活用して書類を管理する“整理術”“仕事術”や、書籍やマンガ、雑誌を裁断してスキャンし、自分で電子書籍を作ってしまう“自炊”がメディアで紹介される機会が増え、「ScanSnap」への注目が高まって販売が拡大。「一時は品薄状態で、海外販売分を国内に回すなどして乗り切った」(松本部長)というほどだった。

 自炊が「ScanSnap」の認知と販売拡大に寄与したことは確かだが、松本部長は「メーカーとして、書籍を裁断してスキャンするという利用シーンを積極的にアピールすることはできない」と考えている。“自炊”という切り口ではなく、仕事を効率化するメリットの訴求に力を入れていく方針だ。

 ビジネスマンの潜在需要を掘り起こすために情報を簡単に整理することができるクラウド型サービス「Evernote(エバーノート)」と連携し、名刺や配布資料、ショップカード、メモなどを電子化してクラウド上にアップして整理・活用するといった使い方を提案していく。さらには「他の世界的なクラウドサービスとの連携も視野に入れている」(松本部長)という。

 また、ホームユーザーの掘り起こしのために、チラシの切り抜きや、クレジットカードなどの明細書、学校からのお知らせなど、家庭の書類を電子化する提案をウェブ広告を中心に強化していく。年明けには、年賀状をスキャンして保管することを店頭でアプローチする計画だ。松本部長は、「ビジネスマンやホームユーザーに、紙の書類を電子化して整理する利便性のアピールに力を入れていく」と意気込む。今年度(2011年3月)通期では、前年比2倍の拡大を見込んでいる。(田沢理恵)
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