頂上熱戦

【頂上熱戦】エピローグ・独自のマーケティングで勝負

2010/10/21 16:51

週刊BCN 2010年10月18日vol.1354掲載

 コンシューマ向けデジタル機器の各市場でシェア争いを繰り広げているメーカーをBCNランキングデータからピックアップし、製品の強みやターゲットユーザーに向けた取り組みを紹介するコーナー「頂上熱戦」。どのメーカーも、ライバルたちを非常によく研究していた。他社の動きと市場全体の動向とを常に意識し、製品の特徴や差異化ポイントなどのアピールに力を注ぐのが、各メーカー共通の取り組みだった。さすがにマーケティングの基礎部分をおろそかにしているメーカーはいなかった。

 しかし、自社製品の機能には自信をもっているものの、そのよさをどのようにユーザーに伝え、購入につなげていくマーケティングで苦労しているメーカーは、いくつか見受けられた。例えば「スキャナ」では、トップシェアのPFUがワールドワイドでトップシェアを確保するメーカーだけあって、製品戦略と販売戦略ともにビジネスモデルをしっかりと構築している一方、シェア2位のキヤノンマーケティングジャパン(MJ)は、幅広いユーザーに受ける製品コンセプトがあだとなって、ターゲットが絞りきれなかったことからシェアを増やせないといったジレンマに陥っていた。

 また、シェア2位につけるメーカーはトップメーカーの製品と異なる機能を追求する姿勢が顕著だった。販売台数(本数)では1位になれなかったものの、販売金額で市場をけん引しているケースがみられた。

 国内メーカーと海外メーカーの取り組みの違いも印象的だった。「液晶ディスプレイ」の、三菱電機とLGエレクトロニクス・ジャパンがその代表例だ。最新技術に敏感なユーザーを狙って3Dなどを取り入れるLGと、3Dには慎重な姿勢で臨み、超解像技術などテレビ事業で培った技術を生かす三菱電機との対比には興味深いものがあった。この結果、09年後半から三菱電機のシェアが急上昇。10年に入るとLGも超解像技術搭載モデルを投入し、シェア争いに拍車がかかっている。

 どの製品分野でも、トレンドを聞くと、2社ともに同じような答えが返ってくる。ところが、同じ方向をみながらも、製品やマーケティングでは異なった戦略を打ち出している。大胆な発想や他社が真似できないアイデアが重要なポイントで、市場の動きやユーザーのニーズなど、どのように時代の流れを読み取って戦略に反映させるかが、シェア獲得のカギを握る。


・取り上げた熱戦

「BDレコーダー」シャープとソニー/「液晶ディスプレイ」日本エイサーとLGエレクトロニクス・ジャパン/「DVD・BDメディア」イメーションと日立マクセル/「インクジェットプリンタ」キヤノンMJとエプソン販売/「ハガキ・毛筆ソフト」クレオとジャングル/「ICレコーダー」オリンパスとソニー/「ネットブック」アスース・ジャパンと東芝/「PCケース」アンテックとサイズ/「コンパクトデジタルカメラ」キヤノンMJとカシオ計算機/「プロジェクタ」エプソン販売とベンキュージャパン/「HDDケース」センチュリーとシー・エフ・デー販売/「ページプリンタ」ブラザー販売とキヤノンMJ/「電子辞書」カシオ計算機とシャープ/「セキュリティソフト」トレンドマイクロとシマンテック/「デジタルビデオカメラ」パナソニックと日本ビクター/「PND(ポータブル・ナビゲーション・デバイス)」三洋電機とソニー/「マザーボード」インテルと日本ギガバイト/「サラウンドシステム」オンキヨーとヤマハエレクトロニクスマーケティング/「USBメモリ」バッファローとソニー/「スキャナ」PFUとキヤノンMJ/「マウス」バッファローコクヨサプライとロジクール/「ハガキソフト」クレオとジャングル(2010年夏商戦版)/「デスクトップPC」NECパーソナルプロダクツと日本エイサー/「液晶ディスプレイ」三洋電機とLGエレクトロニクス(2010年夏商戦版)/「ヘッドホン・イヤホン」オーディオテクニカとソニー/「UPS」エーピーシー・ジャパンとオムロン/「iPodスピーカー」ハーマン・インターナショナルとロジクール
  • 1

関連記事

【頂上熱戦】「スキャナ」(前編) PFUとキヤノンマーケティングジャパン

【頂上熱戦】「スキャナ」(後編) PFUとキヤノンマーケティングジャパン

【頂上熱戦】「液晶ディスプレイ」(前編) 三菱電機とLGエレクトロニクス・ジャパン

【頂上熱戦】「液晶ディスプレイ」(後編) 三菱電機とLGエレクトロニクス・ジャパン