頂上熱戦

【頂上熱戦】「iPodスピーカー」(前編) ハーマンインターナショナルとロジクール

2010/10/07 18:45

週刊BCN 2010年10月04日vol.1352掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(前編)では「製品戦略」を、(後編)では「販売戦略」を問う。

Question. 製品戦略は?

【共通質問事項】 (1)製品の強み (2)ターゲットユーザー (3)新製品について

(左から)ハーマンインターナショナル「JBL ON STATION MICRO II」、ロジクール 「リチャージャブルスピーカー S715i」


Answer.ハーマンインターナショナル

中島邦之
営業部
harman multimedia division
(1)【製品の強み】他社と違い、当社はオーディオ専業メーカーだ。iPodやPCなどの周辺機器メーカーは、スピーカーユニットなどをOEMやODMに頼るケースがあるが、当社はすべて自社で開発・製造している。例えば、スピーカーブランド「JBL」は1946年の創業で、プロオーディオの分野で高い評価を受け、シェアも高い。その高級オーディオのノウハウを、iPodスピーカーに生かせるのが最大の強みだ。純粋に「音」で勝負することができ、ユーザーから評価されている。また、iPodスピーカーのデザインは、音質を追求した円型で統一している。円型にすることで音が乱反射し、にごりのないクリアな音を再生できる。

(2)【ターゲット】「JBL」ブランドは30代以上の男性に認知されており、そこがターゲットの中心になる。ただし、iPodスピーカーは当社のラインアップで最もエントリーに位置する製品で、価格も手頃。20代後半の人にも徐々に浸透してきている。さらに、ステップアップしてもらえるように、iPodも接続できる13万円台後半のオーディオシステム「JBL SAS 100」なども用意している。

(3)【新製品】現在売れ筋の低価格モデル「JBL ON STATION MICRO II」と「JBL ON STATION IIIP」のデザインバリエーションモデルとして、「JBL ON STATION MICRO III」と「JBL ON STATION Ⅳ」を投入した。iPod製品では、音に加えてデザインも重要だと考えている。デザインでもユーザーの選択肢を広げたい。


Answer.ロジクール

竹田芳浩
代表取締役社長
(1)【製品の強み】OEM/ODM製品を自社ブランドで出すメーカーと老舗のオーディオメーカー、そのどちらでもないところが当社の強みであり、iPodスピーカーが成長した理由だ。本社のLogitechは、2001年にLabtec(ラブテック)というオーディオメーカーを買収した。Labtecはスピーカーを30年近く作っていて、設計のノウハウと製造の技術をもっている。われわれはそれらを生かして、新しい世代のユーザーのニーズに応える製品をいち早く投入できる。ユーザーからは、「コストパフォーマンスが高い」と評価されている。もう一つの強みは、「レーザーメジャーメント」という設計プロセスだ。試作品のスピーカーコーンにレーザーを当てることで、音を鳴らすときの動きを細かく分析・調整していく。これによって、バランスの取れた高音質を実現することができる。

(2)【ターゲット】音質には自信をもっているので、そこにこだわりをもつ人をターゲットに据えている。また、当社の製品は充電式の内蔵バッテリで長時間駆動するものが多いので、モバイルユーザーにも訴求する。

(3)【新製品】9月10日に発売した「ロジクール リチャージャブルスピーカー S715i」は、左右合わせて八つのドライバで、バランスの取れた音を再生する。また、近くワイヤレススピーカーを発売する。USBとBluetoothで接続し、PCやiPadのスピーカーとして使うことができる。製品ラインアップを増やすことで、ユーザーの細かいニーズに応えていきたい。

(武井美野里)
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