頂上熱戦

【頂上熱戦】「UPS」(後編) エーピーシー・ジャパンとオムロン

2010/09/30 18:45

週刊BCN 2010年09月27日vol.1351掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(前編)では「製品戦略」を、(後編)では「販売戦略」を問う。

Question. 販売戦略は?

【共通質問事項】 (1)目指す方向性 (2)販促施策 (3)市場のこれから



Answer.エーピーシー・ジャパン

妻鹿行雄
UPS事業部
チャネル営業本部
本部長
(1)【方向性】当社の販売チャネルと販売金額は、販売店に卸すディストリビュータが50~55%、メーカーの受注生産(OEM)が30~35%、ハード/ソフトメーカーと協力して製品を提案するなどのソリューションが10~20%となっている。ソリューションは、まだ販売比率は低いものの手応えを感じており、今後さらに拡大していく方針だ。2010年度は、国内のメーカー別販売台数・金額ともにシェアNo.1を維持する。

(2)【販促施策】UPSの必要性を訴求するキャンペーン「知らないと危険! IT管理の電源トラブル」を、6月下旬から9月末まで、ウェブサイトで実施した。企業内のIT管理者が直面する電源のトラブル事例を、「コスト」「電源障害」「拡張性」「管理負荷」の4テーマに分けて、Flash形式の動画で紹介した。当社製品を扱う販売店に問い合わせが行く仕組みを導入し、販売店の顧客獲得にも貢献した。中容量UPSのメリットを顧客に伝えるいい機会になった。

(3)【市場の今後】トップメーカーの使命として、新しいマーケットを創出しなければならないと感じている。ネットワーク機器や監視カメラなど、まだUPSを導入していない分野は多い。いま以上に訴求対象を広げることで、市場全体の規模を拡大していく。もちろん、ターゲットを広げることでシェアを確保する狙いもある。初期投資の低さやカスタマイズによって、他社製品が導入されるケースが一部の分野で増えてきているからだ。


Answer.オムロン

筒井哲志
電子機器事業本部長
参与
(1)【方向性】販売チャネルと販売金額のおおよその割合は、販売店と法人に卸すディストリビュータが60%、基盤検査装置やチップマウンタ装置などの装置メーカー、KIOSK端末メーカーなどと取り引きのあるFA系商社が30%、POS業界への直販が10%という構図だ。製品と価格設定は現状を維持し、販売チャネルと広告宣伝を工夫することで、市場での存在感を高めていきたい。2010年度は、販売金額で前年比110%を目指す。

(2)【販促施策】販売比率が最も高いディストリビュータを介して法人販売に力を入れていくほか、販売店に対する営業を強化していく。また、ディストリビュータ経由でIT系SIerの比率を高めていく。具体的には、ソフトウェアのカスタマイズを含めたソリューションをSIerに提案する。カスタマイズは、FA系商社を通じた取引先ですでに実施しており、手応えを感じている。これは、当社ならではの取り組みであり、自信をもっている。

(3)【市場の今後】UPSは、IT業界の動向に合わせて、製品展開や販売方法を柔軟に変化させていかなければならない製品だ。例えば製品については、現行の蓄電池である鉛は有害物質を含むので、環境への配慮から、業界全体で代替品を使った製品が必要になってくるだろう。代替品としてリチウムイオン電池があるが、現在は鉛と比べておよそ3倍の価格になってしまう。どう解決していくか、業界全体で取り組んでいかなくてはならない。(井上真希子)
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