時の人
<インタビュー・時の人>ピーシーデポコーポレーション 代表取締役社長 野島隆久
2010/09/30 18:44
週刊BCN 2010年09月27日vol.1351掲載
大手メーカー製テレビの販売を開始
「販売した後から仕事が始まる」
Q 6月に大手メーカー製のテレビ販売を開始した。テレビ市場は、エコポイントを追い風に拡大が続いているが、今後、どのくらいの販売を見込んでいるのか。「取り扱いは2店舗から始めて、7月下旬に20店舗に広げた。8月7日時点で直営店44店舗中、32店舗で販売している。結果的にエコポイント需要の恩恵を受けられるかもしれないが、テレビ販売に参入したからといって、家電量販店の顧客を奪うつもりはない」
Q では、大手メーカーのテレビ販売の目的はどこにあるのか。
「現状では、お客様の関心はエコポイントにある。しかし、当社が大手メーカーのテレビを取り扱いを開始したのは、これからのPCとテレビがつながる時代に、当社が役割を果たせると考えているからだ。アップルが『Apple TV』の新製品を発表したことや、秋にソニーが米国で発売する『Google TV』など、テレビの新しい使い方が登場し、今後はテレビ放送とインターネットのブラウザが共存する時代になっていくだろう。PCに加え、ゲーム機など、インターネットにつながる商品の取り扱いに力を入れているなかでの展開だ。訴求力のある商品を手に入れ、より多くのお客様にアピールする」
Q PCデポはすでに自社ブランドで「Android」搭載のチューナーを発売している。どんなユーザーを獲得しているのか。
「6月に発売した自社ブランドのテレビ『OZZIO StyleVision』シリーズは、LEDバックライト、倍速液晶、フルハイビジョンを特徴として打ち出している。また、これにあわせて『Android』搭載のチューナーを発売した。業界初だろう。ユーザーが当社のサポートセンターに電話して、例えば『ハワイの天気予報を見たい』とリクエストすると、遠隔操作でインターネット画面を設定するというサービスが利用できるようにした。ユーザー数はまだ少ないが、デジタル機器の操作が苦手な人にもネットの便利な使い方を提案していきたい」
Q 自社ブランドを含め、テレビをどのように拡販するのか。アプローチ方法は?
「従来から行っているやり方、つまり折り込み広告や店頭でのアピールだ。ただし当社は、売り場では店員から声をかけない方針を採っている。お客様にじっくり商品を選んでいただくためだが、この方針は基本的には変えない。初めてご来店いただくお客様にはお叱りを頂戴することもあるが、決して売る気がないわけではない。お客様に当社のやり方を理解していただいて、“ファン”をつくっていきたいと考えている」
Q PCデポの強みは何か。
「PCやネット関連についての専門的な品揃えと、お客様に『PCデポに行けば困ったことが解決できる』と思っていただけることが強みだ。『安全・安心』を柱に、店づくりに注力している。PCの修理・サポートのノウハウ蓄積に力を入れているのもその一つ。当社あるいは他社での購入いかんにかかわらず、『テレビのネット機能を使いたい』『レコーダーで録画した番組を他の部屋で視聴したい』といった相談に乗り、通信とネットワークの保守サービスなどを提案する。PCもテレビも、販売した後から仕事が始まると考えている」
1995年11月23日。PCが一般層に普及するきっかけとなったOS「Windows 95」の発売日だ。東京・秋葉原で行われたカウントダウンの賑わいは、PCの歴史に残る一大イベントだった。
ピーシーデポコーポレーションは、当時、「Windows 95」発売日に合わせ、神奈川県横浜市都筑区に「港北NT(ニュータウン)南店」をオープン。「Windows 95」を手にしようとする人々で、ごった返した。午前9時を予定していた開店を8時30分に前倒しして、押し寄せる人々に対応した。50台収容の駐車場はすぐに満車となり、店舗近くの道路は大渋滞。予想を大きく上回る来店者数だった。
それから15年――。残念ながら「港北NT南店」は閉店したが、「Windows 95」発売という歴史的瞬間を刻んだ場所として、今でも心に残っている。
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