店頭流通

エコポイント交換、店舗 で使える商品券を訴求 再来店で売り上げ増狙う

2010/09/16 17:00

週刊BCN 2010年09月13日vol.1349掲載

 2009年5月にスタートした家電エコポイント制度では、対象製品を購入して得たポイントを、さまざまな商品やギフトカードなどに交換できる。家電量販店では、交換商品として自社店舗で使える商品券を用意し、ポイントの交換比率を高くするなどして来店者にアピール。制度延長もほぼ確定したなかで、対象製品に加えて商品券への交換で、年末商戦に向けて売り上げ増を目指す。

ビックカメラ

 「家電エコポイントを、一般のギフトカードに交換するお客様が圧倒的に多い」と、ビックカメラ新宿西口店3階ビジュアルコーナーの浅野洋輝・専門相談員アドバイザーは語る。

 ビックカメラでは、店頭でエコポイントと引き換える商品の一つとして、同社の店舗で使えてポイントも貯まる「ビックカメラUCギフトカード」を用意。このギフトカードのメリットは、エコポイントの点数を丸々還元していることと、ビックカメラで利用した場合、ビックポイントカードに付加するポイントが通常のギフトカードより2%アップすることだ。

 新宿西口店では、対象製品を案内する際に、このメリットをアピール。自社ギフトカードを交換商品に選んでもらうことで、再度の来店と商品購入に結びつけ、売り上げ増を狙う。

 また、店頭で最もスピーディに交換できるのは、LED電球。エコポイントを2倍で利用できる人気商品だ。「LED電球はまだ高価なので、ポイントを利用して1個か2個、試しに交換する人が多い」(浅野アドバイザー)という。

 「BCNランキング」で薄型テレビの動向をみると、3月の家電エコポイント制度の変更による駆け込み特需の反動で、5~6月、金額ベースの前年同月比は振るわなかった。しかし、7~8月は数量・金額ともに前年を上回り、勢いを取り戻している。浅野アドバイザーは、「今年は商戦の波をあまり感じない。例年はお客様があまり入らないお盆の時期も、店頭は賑わっていた。すでに「冬のボーナスで購入する製品の下見に来られるお客様もいる」と語る。

 直嶋正行経産相は、12月終了予定だったエコポイント制度を、対象製品を絞って来年3月まで延長する方針を明らかにしている。それでも年末商戦は、例年を上回る需要が期待される。新宿西口店では、薄型テレビを年末に購入すると発送が遅れる可能性があることから、「お客様には早めに購入されることをお勧めしている」(浅野アドバイザー)。さらに「ビックカメラUCギフトカード」を提案し、再度来店してもらうことで年末商戦を盛り上げる。(武井美野里)

エコポイントの申請カウンターではLED電球をアピール

ベスト電器

斉藤弘店長
 神奈川県横浜市のベスト電器(小野浩司社長)日吉東急店では、8月、家電エコポイント制度の対象商品である地上デジタルテレビ、エアコン、冷蔵庫の売り上げがいずれも好調だった。とくにテレビの伸びは著しく、前年同月比は台数で約180%、金額で約140%(8月24日現在)という成長をみせた。「サイズ別では、値頃感のある32V型が一番売れた」と斉藤弘店長は振り返る。

 家電エコポイント交換商品として、累計で最も多かったのは、全国のベスト電器の店で使える「ベスト電器商品券」だ。同店では、交換商品全体のおよそ9割がこの商品券だという。斉藤店長は「次の家電製品の購入のことを考えると、商品券の利便性は高い。また、家電エコポイントを換算するとき、ほかの商品と比べて交換率がいい」とメリットを語る。日吉東急店の場合、入手した商品券で、ゲーム機やホットプレート、炊飯器を購入しているお客様が多いという。

 日吉東急店は、店全体で家電エコポイント制度の認知向上に力を入れている。店内では、さまざまな場所で家電エコポイント制度をPR。例えば、上りエスカレータを降りた正面には、ベスト電器商品券との家電ポイント交換を勧める動画を大型テレビで再生している。また、制度終了までをカウントダウンする「残りあと○日」という看板を、対象製品の売り場に置いている。

 同店は、日頃から「来店者の世代のニーズに合った製品を提案する」という販売戦略を採っている。客層は20歳前後の学生と、50代以上の年配者が多く、例えば学生ならオーディオ機器、年配者ならダイソンの扇風機というように、いま話題の製品を積極的に提案している。こうした日頃の取り組みと、家電エコポイント制度、家電エコポイントで得た商品券での購買が相乗効果を生み、8月の店全体の売上高は前年同月比で約110%に達した。(井上真希子)

大画面テレビでベスト電器商品券をPR

ソフマップ

ソフマップ営業部秋葉原本館
テレビ担当
藤本実スタッフ
 ソフマップ(平岡正行社長)の秋葉原本館でテレビを担当する藤本実スタッフは、家電エコポイント制度とお客様が考えている買い時の関係を、「ポイントの申請が終了する直前のほうがテレビの価格が下がるのでは、と期待するお客様は多い。買い控えをしている印象だ。また逆に、どのタイミングで購入していいか判断しかねているお客様もいる」と説明する。

 秋葉原本館のテレビの売れ筋は、サイズ別では40V型以上。6割強を占める状況から、同店では「まだリビングのテレビを地上デジタルテレビに買い換えていない人が多い」とみる。一方で、秋葉原という立地から、20~40代の男性客が多く、一人暮らし用や個室用の20V~30V型台の需要も少なくない。こうしたニーズから、8月は販売台数・金額ともに前年を上回った。

 家電エコポイントの交換商品として人気なのは商品券。なかでも、ビックカメラグループが提携している「ビックカメラUCギフトカード」が、エコポイントと同額の商品券になるために人気が高い。ポイント換算が2倍になるLED電球や充電式電池も人気を集めている。「とくにLED電球は価格が高いので、家電エコポイントとの交換で入手したいと考えるユーザーは多い」そうだ。

 テレビ売り場では、家電エコポイント制度の申請締め切りについて、POPで告知している。さらに、カウンターでは、ユーザーサポートとして家電エコポイントの申請代行を実施。これらは、テレビを扱うソフマップの店舗を含めたビックカメラグループ共通の取り組みだ。ソフマップは、来年3月までの延長がみえてきた家電エコポイント制度を、さらに販促に結び付けていく。(井上真希子)

POPで家電エコポイント制度の申請締め切りをお知らせ(8月25日現在)
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