店頭流通
カシオ計算機 開発と営業の連携を強化 オール自動の“究極のカメラ”目指す
2010/08/26 18:45
週刊BCN 2010年08月23日vol.1346掲載
コンパクトデジカメは、買い替え・買い増し需要が8割以上と、市場が一巡している。これまでカシオのカメラ開発・販売は、まず開発部門が主体となって製品を企画し、販売する際に営業部門が販売戦略を考えるという流れだった。しかし、これでは変化し続ける市場には対応できない。すでにカメラをもっているユーザーは、自分がどんなシーンでどう使うのかを知っている。製品開発を担当する中山仁・執行役員QV事業部長は、「ユーザーのライフスタイルのなかで、使用シーンを想定しながら製品を開発し、どんなシーンでどんな効果を発揮するのかを分かりやすく提案していくことが大切」として、商品企画に営業も携わる体制に移行しつつある。
この体制で企画した製品が、2010年1月に投入した耐衝撃・防水・防塵性能をもつ「EXILIM G EX-G1」だ。アウトドアやスポーツを楽しむ人をターゲットに、リストウォッチ「G-SHOCK」で培ったブランドイメージを活用した尖がったデザインを採用。アウトドアブランドとコラボレーションして、共同でグッズを企画・製作するなど、ターゲットに合わせたPRまでを考慮したうえで商品づくりを行い、新たなジャンルを確立した。
現在、カシオ製品の特徴となっている高速連写とハイスピードムービーは、スポーツなどの決定的瞬間を記録する機能というイメージが強く、まだ一般まで広く普及してはいない。その点について中山部長は、「この二つは“技術”そのもの。いわば素材だ。ストレートに訴求するのではなく、今後はこれらの技術を使って、ユーザーが理解しやすい価値を製品に付加していく」と構想を語る。
中山部長はカシオが目指すデジカメについて、「被写体に向ければ、シャッターさえ押すことなく、自動で構図を決めて、広角から望遠まで超高速連写で撮影。撮った後は、自動で一番いいショットを切り出してくれるカメラ」と表現する。そして、これを実現するには「高速連写とハイスピードムービーの技術が欠かせない」という。
現在でも、この姿に近い機能を一部機種に搭載している。連写した画像から、人物が目をつぶっている写真などを取り除いて、いい表情の1枚だけをカメラが選ぶ「いち押しショット」だ。しかし、中山部長は「まだユーザーにうまく訴求しきれていない」とみている。
さらに営業部門と開発部門が密に連携し、ユーザーへの訴求ポイントが明確になれば、ユーザーはカシオの目指す“究極のカメラ”に価値を見出すに違いない。(武井美野里)
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