店頭販売奮闘記

【店頭販売奮闘記】ケンコー(前編) 条件の異なる店舗を回ることが人を育てる

2010/07/22 18:45

週刊BCN 2010年07月19日vol.1342掲載

 このコーナーでは、店頭販売に注力するメーカーの販売第一線の動きを紹介する。(前編)では各社の販売戦略や体制を、(後編)では現場の奮闘ぶりを追う。

山下一彦
販売促進課 課長
 デジタル一眼カメラ用フィルターなどのカメラアクセサリや、望遠鏡、双眼鏡を製造・販売するケンコー。2009年6月に販売促進課を設立し、6名のスタッフで関東・甲信越の販売店を担当している。取引先はビックカメラやヨドバシカメラ、ヤマダ電機など。ケンコーで扱うすべての製品の販促活動にあたっている。

 ケンコーならではの店舗巡回手法として、「担当者を法人別にしない」という方法がある。これには、明確な意図がある。法人や地域、店舗規模など、条件の異なるさまざまな店舗に足を運び、経験を積んでいくことで、個々の店舗に合った製品は何なのかが分かるようにするためなのだ。

ソフマップ秋葉原本館のフィルター売り場
 山下一彦・販売促進課課長は、「特定の製品が弱い店舗でも、その店舗に合う戦略は必ずある。地域や店の“色”を把握して、製品や売り方を提案していかなければならない」とアプローチの秘訣を語る。また、さまざまな“色”の店舗を回り、場数を踏むことで「度胸が据わり、きちんとした提案活動ができる人間になっていく」という。この手法のもう一つの狙いは、課員の人材育成にあるのだ。

 販売促進課が誕生した背景には、売り場環境の変化がある。以前は新製品を出すとすぐに置いてもらえたが、店員数の減少などが要因となって、徐々に品出しがされにくい状況になった。そこで店舗訪問活動を主体とする販売促進課を創設し、巡回頻度を高め、売り場の環境改善に努めたのだ。

 山下課長は、販売促進課創設の立役者。「担当者を法人別にしない」手法も自ら考案し、実践してきた。それだけに、店舗巡回には情熱を傾けている。今後の目標は、「新製品をすばやく開発して店頭に並べ、店舗やユーザーに提案していく」こと。「製品は育ててやらないと売れない」とも語り、売り場に足を運ぶ大切さを説いている。(井上真希子)
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