店頭販売奮闘記

【店頭販売奮闘記】日本プラントロニクス(前編) 老舗ヘッドセットメーカーの船出

2010/06/10 18:45

週刊BCN 2010年06月07日vol.1336掲載

 このコーナーでは、店頭販売に注力するメーカーの販売第一線の動きを紹介する。(前編)では各社の販売戦略や体制を、(後編)では現場の奮闘ぶりを追う。

村田浩志
社長
 プラントロニクスは、米カリフォルニア州に本拠を置くヘッドセットメーカー。1961年の設立で、来年、創業50年を迎える老舗だ。1969年、アポロ11号の月面着陸の際に、ニール・アームストロング船長が残した名言「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」は、同社の製品を通じて地球に伝えられた。こうした歴史や、NASA(米航空宇宙局)が同社製品を公式採用していることなどから現行のBluetoothヘッドセットには「ボイジャー」「エクスプローラー」「ディスカバリー」と名付けている。

 日本法人である日本プラントロニクスの店頭流通は、主に販売パートナーであるコンピュータ周辺機器の総合商社ゲートが担ってきた。Bluetoothワイヤレスヘッドセット「M3000」を投入したのは04年6月で、当時はプラントロニクスブランドの下、ゲートが発売元となってOEMに近い形でスタートした。これが、日本に初めて登場したコンシューマ向けBluetoothワイヤレスヘッドセットとなった。

 当時は「Bluetoothやヘッドセット、さらにはプラントロニクスというブランド名も認知されていなかった時代」(村田浩志社長)だった。もちろん、家電量販店にBluetoothワイヤレスヘッドセット売り場などない。量販店のバイヤーからは、「日本で売れるわけがない」と言われたこともあったという。実際にM3000は「ほとんど売れなかった」(村田社長)という。

 険しい船出となったBluetoothワイヤレスヘッドセットだったが、次のモデル「M2500」の発売後に、潮目が変わった。04年11月の改正道路交通法施行で携帯電話の「ながら運転」が禁止となり、ハンズフリーが注目されたことや、携帯電話のBluetooth対応機種の増加、そしてBluetooth自体の認知度の高まりが追い風となったのだ。

 「日本のBluetoothヘッドセット市場を築いたのは、間違いなくプラントロニクス製品」と、ゲートの宮本浩司取締役は太鼓判を押す。(田沢理恵)
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