頂上熱戦

【頂上熱戦】「USBメモリ」(前編) バッファローとソニー

2010/06/10 18:45

週刊BCN 2010年06月07日vol.1336掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(前編)では「製品戦略」を、(後編)では「販売戦略」を問う。

Question. 製品戦略は?

【共通質問事項】 (1)売れ筋のトレンド (2)自社製品の強み (3)新製品の投入計画

(左から)バッファロー RUF2-JWSシリーズ(リッチブラウン)
ソニー USM-LX(A)シリーズ(モードピンク)


Answer.バッファロー

齋藤琢也氏
ストレージ事業部
STマーケティンググループ
(1)【売れ筋】機能やデザインがすぐれた高付加価値モデルよりも、低価格製品が売れている。USBメモリは、お客様を呼び込むための特価品として量販店のチラシに掲載されることが多い。チラシに特価品として載ると、爆発的に売れる。最近では、こういったチラシを打つ店舗が郊外を中心に増え、安価な製品を提供する台湾メーカーがシェアを伸ばしている印象だ。当社も2009年の後半から、ウェブの製品ページなどに掲載していない特価品用の廉価モデルを量販店に提供し、シェアを伸ばすことに成功している。

(2)【強み】指紋認証で情報を保護するビジネス用途向けの製品から、キャラクターものまで、豊富なラインアップが強みだ。欠けているラインアップは、そのつど追加している。最近の例では、バイヤーの要望を受けて、企画とデザインを女性が担当した女性向けの製品群を追加した。なかでも、これまでのUSBメモリにはない、艶のあるエレガントな4色を揃えた新製品「RUF2-JWSシリーズ」が好評だ。実際に製品を持って営業に行けば、バイヤーも製品の質感に納得して注文してくれる。こうした高付加価値の製品で利益を出しながら、安価な製品も展開し、トータルでシェアを獲得するという戦略をとっている。

(3)【新製品】今後は、高い付加価値をもつラインアップをさらに増やし、平均単価を上げていくことを狙う。その一つとして、USB3.0に対応する製品を、10年度内に投入する計画だ。


Answer.ソニー

白髭誠二氏
メディア・バッテリー&
AVペリフェラルマーケティング部
メディア・バッテリーマーケティング課
マーケティングマネジャー
(1)【売れ筋】販売数では4GB製品、金額では4GB・8GB製品が売れ筋となっている。トレンドが大容量モデルにシフトしており、大きなデータをすばやく転送できる高速モデルが売れる傾向にある。また、大容量モデルは、パソコンデータのバックアップに利用するユーザーもいる。そうなると、セキュリティが重要になってくる。当社の製品は、ファイル暗号化ソフト「キチッと秘密ファイルロック」が入っているので、セキュリティ面でも安心だ。

(2)【強み】3年前にノックスライド式の製品を投入し、その後の新製品はすべてこの形式を採用している。ワンプッシュでUSBポートに接続できること、キャップがないというメリットが、ユーザーに受けている。アクセスする際に美しく輝くLEDも好評だ。また、バイヤーからのリクエストを受け、2009年からカラーバリエーションを追加した。現在では、ピンク、ブルー、ホワイトなど、女性にも手に取ってもらえるモデルが揃っている。これによって、店頭の売り場面積も広がった。

(3)【新製品】09年初頭からフラッシュメモリの価格が上昇し、現在も高止まりしている。USBメモリは部材であるフラッシュメモリ自体のコストが占める割合が大きいので、その価格が上がれば、製品価格に反映せざるを得ない。平均単価が上昇して、市場がシュリンクしている今の状況下では、新製品はなかなか出しづらい。今後のフラッシュメモリの価格動向をみて、投入を検討する。(武井美野里)
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