店頭流通

ソニー USBメモリが好調 部材価格高止まりで「ブランド買い」

2010/05/27 18:45

週刊BCN 2010年05月24日vol.1334掲載

 USBメモリ市場は、バッファロー、エレコム、アイ・オー・データ機器の3社がリードしてきた市場である。この構図が変化し始めたのは、2009年2月からだった。他社よりも価格が高く、シェア争いでは常にトップ3の後塵を拝していたソニーのシェアがじりじりと上昇し、09年10月には遂にバッファローを抜いてトップに躍り出たのだ。その後、11月にはバッファローに1位を奪還されたが、ソニーは現在まで継続して3位以内をキープし続けている。

 メディア・バッテリー&AVペリフェラルマーケティング部 メディア・バッテリーマーケティング課の白髭誠二マーケティングマネジャーは、好調の理由を、「09年初頭からフラッシュの価格が上昇し、現在も高止まりしている。USBメモリは部材であるフラッシュ自体のコストが占める割合が大きいので、フラッシュの価格が上がれば、製品価格に転嫁せざるを得ない。それまでは台湾メーカーなどによる当社の約半額の製品が乱立していた状態だったが、ここ1年ほどで、価格差が詰まってきた。価格にそれほど差がなければ、消費者は信頼できるブランドとしてソニー製品を選ぶ」と分析する。

 ソニーは、この勢いにさらに拍車をかけようと、立て続けにキャンペーンなどの施策を打ち始めた。一つは、6月11日に開幕する「2010 FIFAワールドカップ 南アフリカ」大会を前に、アフリカの子どもたちにサッカーボールを届けるキャンペーン。これは、5月末まで続くキャンペーンの期間中に、同社のUSBメモリ、メモリースティック、SDカードの累計出荷数のメモリ容量が1万GBを超えるごとに、アフリカの子どもたちに特製サッカーボールをプレゼントするもの。

 また、5月13日からは、メモリースティック、SDカードで提供していた購入特典を、USBメモリにも適用。同社サイトのUSBメモリの製品ページから、モデル名と製造ロット番号を入力すれば、データ復旧ソフト「Memory Card File Rescue」と、写真からビデオクリップを自動作成するソフト「x-Pict Story for Memory Card」を無料でダウンロードできる。

 このように、「製品だけでなく、その後の使い勝手も提供する」(白髭マネジャー)ことで他社との差異化を図り、2010年上期は、数量・金額とも昨年超えを目指す。(武井美野里)

キャップレスの「ノックスライド機構」が特徴
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