頂上熱戦

【頂上熱戦】「サラウンドシステム」(前編) オンキヨーとヤマハエレクトロニクスマーケティング

2010/05/27 18:45

週刊BCN 2010年05月24日vol.1334掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(前編)では「製品戦略」を、(後編)では「販売戦略」を問う。

Question. 製品戦略は?

【共通質問事項】 (1)自社の強み (2)ラック型の動向 (3)3D対応テレビとの連携

オンキヨー「BASE-V30HDX」 ヤマハ「YSP-5100」


Answer.オンキヨー

山本誓一氏
AVカンパニー
国内営業部
国内マーケティング課
(1)【強み】ピュアオーディオの専門メーカーとして、音質技術にこだわりがある。サラウンドシステムには、できる限りピュアオーディオの製品と同じ構造や素材を使用するよう心掛けており、システムのサイズを問わず、いい音を提供している自負がある。音質技術の追求に終わりはない。日本の住環境に合った小型で高品質な製品を長く使ってもらえるよう、日々尽力している。価格も手の届く範囲に設定している。

(2)【ラック型】家庭でのサラウンドシステムは、以前はハードルが高かった。しかし、2004年7月に業界として初めてラック型を発売したことで製品の選択肢が増え、敷居を下げることができた。この点は、業界全体の追い風になったと思う。ただ、テレビ台をすでにもっている人は、ラックはいらない。スピーカーを分離して置く省スペースなスピーカーシステム型なら、後からスピーカーやアンプなどを単体で買い替え・買い増しができるので、使い勝手がよいと考えている。

(3)【3Dテレビ】ピュアオーディオを除けば、業界で初めて3D対応モデルを3月に発売した。サラウンドシステムは、レコーダーやゲーム機など、さまざまなAV機器をテレビにつなぐ「ハブ」として活用できる。そのため今後3D対応モデルは、テレビやレコーダー・プレーヤーのメーカー、コンテンツをつくる企業と協力して、ユーザーに提案していきたい。一過性のものでなく、長い目をもってよさを伝えていく必要がある。


Answer.ヤマハエレクトロニクスマーケティング

藤井陽介
企画・広報室
広報担当
プロダクトマネージャー
課長代理
(1)【強み】2004年12月に初めて発売したフロントサラウンド型「YSPシリーズ」の技術には自信がある。小型スピーカーを複数内蔵し、音をビーム状にして壁に反射することで、5.1chや7.1chのリアルな音声を味わうことができる。後ろにスピーカーがなくても、前面のシステムだけで、臨場感溢れる音が楽しめる。サラウンドを体感できるスイートスポットが広いこともメリットだ。開発段階では壁のような大きなボディだったが、小型化に成功し、製品として世に送り出すことができた。

(2)【ラック型】11年7月まではデジタルテレビの需要があるので、販売は好調に推移するとみている。現在は、手持ちのアナログテレビよりもひと回り大きなデジタルテレビを買う人が多く、それに合うテレビ台が必要になってラック型を一緒に購入する人が増えている。しかし、この後は、勢いは鈍化するだろう。デジタルテレビが普及すると、ラック型を購入する必然性がなくなるからだ。

(3)【3Dテレビ】サラウンドシステムを提案しやすいタイミングとして、大いに期待している。とくに3Dの映画やゲームは、音響機器があったほうがコンテンツを十分に楽しむことができるからだ。これまで音の世界では、テレビの2D映像が立体的に見えるよう、サラウンドを訴求してきた。それがついに、映像が音に追いついてきた。今年の夏以降、対応製品をメーカー各社が投入すると予想している。テレビ放送やソフトなど、コンテンツの拡充も不可欠だ。

(井上真希子が担当)
  • 1

関連記事

ラック型サラウンドシステムが拡大 テレビ買い替え需要で市場に勢い