頂上熱戦

【頂上熱戦】「マザーボード」(前編) インテルと日本ギガバイト

2010/05/06 18:45

週刊BCN 2010年05月03日vol.1332掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(前編)では「製品戦略」を、(後編)では「販売戦略」を問う。

Question. 製品戦略は?

【共通質問事項】 (1)トレンド (2)主力製品と強み (3)製品開発のコンセプト

(左から)ASUSTeK Computer「P7P55D-E」、日本ギガバイト「GA-P55A-UD3R」


Answer.ASUSTeK Computer

七高康介
マ-ケティング部
コンポ-ネントマ-ケティング
(1)【トレンド】インテルの最新CPUのCore iシリーズに対応するP55チップセット搭載モデルが人気だ。それにプラスして、次世代インタフェースのUSB3.0とSerial ATA 3.0を備える「P7P55D-E」が伸びている。今はまだUSB3.0とSerial ATA 3.0に対応していない「P7P55D」が一番売れているが、出荷ベ-スで差は1%ほど。そう遠くない日に順位は逆転するだろう。

(2)【主力製品と強み】注力しているP55チップセット搭載製品は、各ポートとチップセット間の帯域の問題を解決するために、PLX製のPCI Expressブリッジチップを積んでいることが強み。通常の接続方法を採用した場合、USB3.0とSerial ATA 3.0の帯域は250MB/sに制限されるが、このブリッジチップによって、500MB/sの帯域で接続でき、最新規格の高速転送速度をほぼ損なうことなく利用できる。コストはかかるが、これが当社の性能へのこだわりだ。

(3)【開発のコンセプト】製品を作るときは、必要最低限の性能をクリアする考え方は採らない。すべての部分について、多少の余裕をもたせることにこだわる。なかでもマザ-ボ-ドの心臓部である電源回路は、最高級の部品を使用する。例えば、CPUの仕様が新しくなったときには、普通は新しい製品を買わないと対応できないが、当社の製品はBIOSアップデ-トだけでそのまま利用できたという例もある。多少値段が高くても長く使える製品だということが、ユ-ザ-に浸透してきている。


Answer.日本ギガバイト

呂正民
代表取締役
(1)【トレンド】インテルの最新CPUのCore iシリーズに対応する製品が売れ筋。CPUの進化に伴ってパソコンの性能が高くなるので、マザーボードも高機能なものを設計しなければならない。当社がとくに注力しているのは、次世代インタフェースであるUSB3.0とSerial ATA 3.0。USB3.0のデータ転送速度は、コンピュータのライフスタイルを変える。今後、対応するデバイスは増えていくだろう。いずれ、USB3.0を「GA-H55」シリーズや「GA-G41」シリーズなど、安価な製品にも搭載したい。

(2)【主力製品と強み】Core iシリーズ対応の「GA-P55A-UD3R」に最も注力している。USB3.0やSerial ATA 3.0などの最新インタフェースを備えるのはもちろん、独自の「USBパワ-3倍機能」を搭載し、USB規格の3倍の電力を供給する。通常なら別にACアダプタからの給電が必要な機器も、USBからの給電だけで安定して駆動する。充電時間も3分の1だ。当社では、USB3.0、Serial ATA 3.0、「USBパワ-3倍機能」という「3」に関連する三つの機能を備えるモデルを「333オンボードアクセラレーション」と定義してアピ-ルしている。

(3)【開発のコンセプト】品質・安定性で業界一を目指している当社は、製品開発時に、すべてのパ-ツを厳しい条件で選択する。例えば「GA-H55」シリーズ以上の製品は、コンデンサやICチップなど、日本製の高級パ-ツを使用している。パ-ツコストは、業界内で一番高いと思う。これによって、修理費も削減できる。

(武井美野里)
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