店頭流通

シグマ 「手軽に高画質」を求めるユーザーを狙う

2010/04/22 18:45

週刊BCN 2010年04月19日vol.1330掲載

 シグマ(山木和人社長)は2010年3月末、コンパクトデジタルカメラ「DP2s」を発売した。撮像素子に、デジタル一眼レフが採用するAPS-Cサイズと同等の大きさのイメージセンサーを搭載したのが最大の特徴だ。手軽に高画質の写真を撮りたい人をターゲットに据えながら、一眼並みの画質とコンパクトデジカメの手軽さをうたい文句に市場を開拓する。

斎藤達也
国内営業部部長
 「高画質な写真を撮ることができるデジタル一眼レフに、魅力を感じている人は多い。しかし、大きさや重さから敬遠する人がいるのも事実だ。今、小型で高画質なカメラが求められている」と「DP2s」の位置づけを語るのは、斎藤達也・国内営業部部長。

 「DP2s」は、09年4月に発売した「DP2」の後継機で、20.7×13.8mmで有効1400万画素のCMOSセンサーと、41mm(35mmフィルム換算)の単焦点レンズを搭載。「DP2」のユーザー意見を反映し、オートフォーカスの高速化やバッテリ駆動時間の改善などを図った。

 シグマは大型センサーを搭載した単焦点レンズのコンパクトデジカメ「DP1」シリーズも展開している。「DP1」は広角レンズ、「DP2」は目で見たのと同じように自然な写真が撮影できる標準レンズを採用することで差異化を図っている。

 「『DP2s』は、撮影技術が求められる広角レンズの『DP1』よりも手軽に高画質を楽しんでもらえる万人向けの機種」と、斎藤部長は説明する。

 競合機種はAPS-Cのセンサーを搭載するデジタル一眼レフや高級コンパクトデジカメ、ミラーレス一眼レフ。「DP2s」には、レンズ交換ができず、動画機能もフルHD対応のコンパクトデジカメよりも低いという弱点があるものの、「赤、緑、青の色情報を100%取り込んで、自然な色を再現する独自センサーを使った画質の高さは、他社にはないアピールポイント」と、斎藤部長は強調する。

 「DP2s」は、主にカメラ系量販店で販売する。店頭では「DP2s」と一般のコンパクトデジカメのセンサーを並べた比較展示と、高い色再現が求められる風景写真を、A3などの大きな写真用紙にプリントをしたサンプル展示を展開。色再現性が高い、大型センサーによる画質のよさを訴求する。

 シグマの調査では、DPシリーズのユーザーは、同シリーズを購入した店で専用アクセサリーや新モデルなどを買い求める傾向がある。「DPシリーズはお客さんの囲い込みになる」(斎藤部長)というメリットを量販店に訴え、売り場の確保に結び付ける。

 発売から日は浅いものの、すでに「女性やアート好きな人の購入が多い」(斎藤部長)と、ユーザー属性は把握済み。今後、アパレルメーカーなどと組んだ写真展などで露出を増やし、ユーザーの拡大につなげる計画だ。(米山淳)

大型イメージセンサーを搭載した「DP2s」
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