店頭流通

エスケイネット 病院の地デジ対策がターゲット

2010/04/15 18:45

週刊BCN 2010年04月12日vol.1329掲載

 エスケイネット(妹尾兼代表取締役)は、病院の地デジ対策をメインターゲットに、小型テレビの販売を強化する。「ベッドサイドにちょうどいいサイズである13.3型で、小型・軽量・低価格を武器に、パラマウントベッドや病院向け機器販社と組んで拡販していく」(市川幸夫・セールス&マーケティングマネージャー)。13.3型と15.4型の小型液晶テレビで、2009年6月の第一弾発売から1年間で1万台の販売を見込み、10年7月から11年6月末まででは、2万5000台の販売を計画している。

 09年6月に発売した13.3型の「CLAiR(クレール)」は、量販店で販売する地デジ対応テレビとしては最小の13.3型。3段のカラーボックスの一枠に収まるコンパクトサイズで、約1.5kgという軽さも特徴だ。チューナーは地デジのみに絞り、実勢価格2万9800円前後の低価格を実現した。

軽量・コンパクトが特徴の13.3型「SK-DTV133JW2」。シャープ製チューナーを搭載する

 地デジ対策需要を見込んで、当初はコンシューマ向けと法人向けに、合わせて5万台の販売を計画していた。しかし店頭では、19型で3万円前後の製品が登場するなど、低価格化が加速している。13.3型で2万9800円という価格では優位性が打ち出しにくく、販売は苦戦している。

 一方、法人向けでは、病院向け機器販社とアライアンスを組んだ。病室のベッドサイドや、時間のかかる人工透析を行う部屋に置くなど、ベッドサイドのアナログテレビのリプレースで成果が現れつつある。2010年3月だけで、法人向けに700台の小型テレビを納入。2010年6月までの1年間トータルでは、1万台ほどを納入する見込みだ。今後は、これらの導入事例を順次ホームページで公開し、アピールしていく。

市川幸夫
マネージャー
 法人向けの液晶テレビの販売には、2011年7月の地デジ完全以降後も、引き続き力を入れていく。「例えば、リモコンの紛失を防ぐために、あえてリモコンを有線にすることや、リモコンにスピーカーを搭載して音声を聴けるようにするなど、ベッドサイドでの利用に適したオプションを検討している」(市川マネージャー)。従来、テレビは民生品を業務用に転用するというのが一般的だったが、「介護用ベッドなどと同じように、病室で使用することを目的に製品化する発想」を取り入れて、ビジネス拡大を目指す。

 また、現在、浴室で観られる防水テレビを開発中で、2010年内の発売を目指している。浴室での視聴に適したワンセグ防水テレビは数メーカーから出ているが、こちらは地デジを無線で飛ばす「フルセグ」が特徴。住宅メーカーや不動産デベロッパーに向けて、ビルトイン式で浴室にテレビの導入を提案するほか、一般家庭にも売り込んでいく。

 同社は、テレビの大型化を図るのではなく、小型の特徴を生かしながら、利用シーンのバリエーションを増やすことで、差異化を図っていく方針だ。近い将来、録画機能の搭載も視野に入れている。(田沢理恵)
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