店頭流通

オリンパスイメージング ラジオ+ICレコーダーで新需要を開拓

2010/04/08 18:45

週刊BCN 2010年04月05日vol.1328掲載

 ICレコーダーは、入学や就職などの新生活をきっかけにして、春に購入する人が多い商品だ。オリンパスイメージング(大久保雅治社長)は、この春商戦に向けて、ICレコーダーの新製品として、持ち運びできるラジオサーバー「PJ-10」を1月22日に発売した。ラジオをICレコーダーの付加価値として位置づける戦略を聞いた。

 オリンパスは、「BCN AWARD」のICレコーダー部門最優秀賞を4年連続で受賞しているトップメーカー。現在、ICレコーダーのほか、リニアPCMレコーダー、さらにはラジオ録音に特化したラジオサーバーと、幅広いラインアップをもつ。

ラジオサーバー PJ-10

 ラジオサーバーとは、ラジオ番組を聴くだけでなく、内蔵HDDに録音したり、録音した音声データをPCやICレコーダーに転送したりする据え置き型の製品。これをICレコーダーとしても、ラジオサーバーとしても使えるように、携帯モデルに発展させたのが、「PJ-10」である。

喜田哲生課長
 春から始まるNHKラジオ語学番組にタイミングを合わせ、市場に投入。ラジオリスナーは40代以上の男性が中心なので、液晶画面やボタンを通常のICレコーダーよりも大きくした。「当社の製品は操作性がいいことがウリ。そこを最も重視した」と喜田哲生・事業統括本部オーディオ事業推進部企画グループ課長は語る。

 ラジオといえば、3月15日にインターネットでラジオが聴けるサービス「radiko」が一部地域でスタートし、注目を集めている。PCでラジオが聴けるとなると、ラジオ“端末”は不要。メーカーにとっては脅威のはずだが、喜田課長は「ラジオが話題になることでICレコーダー市場が盛り上がってくれればいい」と、これを楽観的に捉えている。これまであまりラジオを聴いていなかった層の開拓につながるとみているのだ。ラジオ+ICレコーダーの機能をもつ「PJ-10」を、この新たな層に向けてアピールし、需要の掘り起こしを図る。

 一方、店舗でのICレコーダーの販促には課題がある。「単なるスペックの紹介では、お客様に“使い勝手”が伝わらない。具体的な用途提案をすることで、商品の価値と利便性をお伝えしたい」と猪狩一郎・国内営業本部営業企画部営業企画1グループシニアマーケティングマネージャーは語る。既存店との関係を維持することで店舗内のポジションはしっかり確保しているが、「販売店との取り組みは改善の余地がある」と自戒する。

 オリンパスは2010年、前年に引き続き販売台数・金額ともにメーカーシェアNo.1の獲得を目指す。(井上真希子)
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