頂上熱戦

【頂上熱戦】「デジタルビデオカメラ」(前編) パナソニックと日本ビクター

2010/04/08 18:45

週刊BCN 2010年04月05日vol.1328掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(前編)では「製品戦略」を、(後編)では「販売戦略」を問う。

Question. 製品戦略は?

【共通質問事項】 (1)市場全体のトレンド (2)春商戦向けモデルの強み  (3)ターゲットとなるユーザー

(左から)パナソニックHDC-TM700、日本ビクターGZ-HM570


Answer.パナソニック

谷川和宏
デジタルAVCマーケティング本部
商品グループ
ビデオチーム
(1)【トレンド】現在、デジタルビデオカメラの画質は、ハイビジョン(HD)が約9割。記録媒体の主流はHDDから内蔵メモリに移行し、約7割が対応している。メモリが大容量化していることから、容量ではHDDと遜色なくなってきたことが背景にある。また、駆動部がないので軽く、小さくでき、衝撃にも強い。ユーザーは、内蔵メモリタイプのビデオカメラを新しい世代の製品と捉えているようだ。一方、撮影機能は「高倍率ズーム」「手ブレ補正」「ワイド撮影」がキーワードで、当社だけでなく、各社とも力を入れている。

(2)【自社の強み】2月に発売した「HDC-TM700」で、民生用AVCHD対応機器として、初めてテレビのデジタル放送と同じ記録方式「1080/60p」を採用した。フラッグシップとして業界の最高画質を目指した。ターゲットとして、ファミリーはもちろんだが、動画撮影を趣味とする上級者も想定している。また、「遠くも近くもきれいに記録したい」というユーザーの要望に応えるため、広角レンズと超解像技術を用いた「iAズーム」による光学35倍を実現している。

(3)【ターゲット】02年2月から「愛情サイズ」をコンセプトとして掲げ、母親に訴求している。従来、ビデオカメラといえば、父親のイメージが強かったが、子どものそばにいる時間が長いのは、やはり母親。それだけ、ビデオカメラの利用シーンが広がる。製品が小型・軽量化していることで、女性でも扱いやすくなっている。自分の子どもにピントを合わせ続ける個人認証機能など、使い勝手の点でも工夫している。


Answer.日本ビクター

浅川健司
デジタル・イメージング事業部
イメージング統括部
商品企画部
企画グループ長
(1)【トレンド】一つには、HD化の流れがある。HD対応テレビが普及したことが後押しした。海外と比べると、日本は画質にこだわりをもつユーザーが多い。画質が良ければ、価格の高いモデルでも抵抗なく買い求める傾向があるようだ。もう一つは記録媒体で、HDDから内蔵メモリに変化している。メモリ容量の増加に加え、駆動装置をもつHDDと比べての取り回しのしやすさ、小型・軽量などのメリットがある。

(2)【自社の強み】撮っているときと持っているとき、どちらも美しく見えるデザインにこだわっている。このコンセプトは、08年1月に化粧品をイメージした「ルージュレッド」など、携帯電話のようなカラーバリエーションを揃えたスタイリッシュなモデルを投入したときからのもの。機能では、1062万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、暗い場所でもきれいに撮れることがポイントだ。このほか、これまでない使い方に挑戦できるモデルとして、Bluetooth対応でスマートフォンで本体を遠隔操作できる「GZ-HM570」を投入した。

(3)【ターゲット】メインは子どもをもつ女性だ。ただ、イメージキャラクターとして起用しているベッキーさんのような30歳前後の独身女性にも、普段から持ち歩いて使ってもらいたい。女性を意識して、一部機種には脱着式グリップベルトを採用した。ストラップ代わりになり、携帯電話のように、いつでもスマートに持ち歩き、使いこなすことができる。おしゃれなカラー&デザインの先駆者としての自負がある。
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