頂上熱戦

【頂上熱戦】「セキュリティソフト」 トレンドマイクロとシマンテック(後編)

2010/04/01 18:45

週刊BCN 2010年03月29日vol.1327掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(前編)では「製品戦略」を、(後編)では「販売戦略」を問う。

・(前編)から読む

Question. 販売戦略は?

【共通質問事項】 (1)販売戦略 (2)店頭での施策 (3)今後の展開



Answer.トレンドマイクロ

吉田健史
マーケティング本部
コンシューマ&SBマーケティング
グループ部長
(1)【販売戦略】ユーザーにインパクトを与えることで、当社製品を親しみやすくする戦略だ。販売を一つの製品に絞ることも、「分かりやすさは、すなわちインパクトである」という考えに基づいている。セキュリティソフトは製品だけでの差異化が難しいので、告知に注力している。例えば、セキュリティソフトでPCの動作が重くなり、耐えきれずに叫んでいる女性をモチーフにしたCMで、ユーザーに強い刺激を与えながら、「ウイルスバスターは軽い!」と訴求する。さらに、営業部とマーケティング部のコラボレーションを強化することによって、ユーザーと販売パートナー両方のニーズを把握し、「販売力」の向上を図っている。

(2)【店頭での施策】製品のメリットを伝えるためには、ユーザーとのコミュニケーションが欠かせない。店頭では、販売員による製品説明がコミュニケーションの手段だ。当社は販売店と非常に緊密な関係をつくっているので、販売員を通じてユーザーと深いコミュニケーションをとることができる。

(3)【今後の展開】新しいウイルスの脅威に対応したセキュリティソフトを着実に提供していきながら、製品戦略やマーケティング戦略の基本方針は変えない。なぜなら、今の方針でシェアが下がることが想像できないからだ。今後、新規ユーザーの開拓はもちろんのこと、既存ユーザーの満足度を高めたり、販売店との関係をさらに深めたりすることに力を注いでいく。


Answer.シマンテック

デイビッド フリーア
アジアパシフィック&日本担当
コンシューマ
バイスプレジデント
(1)【販売戦略】店頭であれウェブであれ、販売チャネルにかかわらず、当社製品を同じ価格で提供している。例えば、ウェブで買うと安くなるなどの戦略は、ユーザーを混乱させるだけでなく、安すぎると信頼感を抱いていただけなくなることもある。競争が激しくても、セキュリティソフトでディスカウントという戦略を採るのは賢くない。そこで、価格ではなく、販売チャネルの広さで他社製品と差異化している。ユーザーが製品を購入するのに、自分にとって一番便利なチャネルを選べるという選択肢を提供しながら、価格面では平等を保つという戦略だ。

(2)【店頭での施策】販売店それぞれの客層や特徴を見極めて、それに合わせて少しずつ異なる製品を提供する。例えば、ある販売店でしか購入できない特別版などを提供することで、幅広いユーザーの多様なニーズに柔軟に対応している。これによって、製品の独自性をアピールすることもできる。

(3)【今後の展開】セキュリティソフトをより普及させるためには、リスク意識を高める啓発活動が第一歩。主にメディアを通して、ユーザーに脅威を理解してもらうことを重視している。同時に、攻撃を前もって止めさせる技術や、セキュリティソフトを使ってもPCが軽いというユーザー体験を、今まで以上に強くアピールしていく。サイバー犯罪が増加するなかで、最新の脅威に対応したセキュリティソフトは常にニーズが高いと考えている。
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