店頭流通
日本シャトル 2010年は低価格化と汎用化 ベアボーンのシェア奪回へ
2010/03/11 18:45
週刊BCN 2010年03月08日vol.1324掲載
日本のベアボーンPC市場で、2007年~2009年の3年連続で販売数量シェアNo.1を獲得し、BCN AWARD 最優秀賞に輝いている日本シャトル。しかし、2009年は27.5%と、2008年の44.2%から大幅に勢いを落とした。
最高業務執行責任者の伊藤賢氏は、この理由を「2008年末、ある台湾メーカーが、当時トレンドだったAtom搭載のマザーボード採用モデルを、信じられないような低価格で投入してきた。これで当社の同等製品と1万円ほどの差がついてしまった」と語る。こうなると、ユーザーは安価な製品に流れる。
追い討ちをかけるように、通常のAtom採用モデルに比べて映像関連の処理が速いAtom+NVIDIA ION採用のモデルが登場。たちまち人気を得た。同社はこの流れに乗ることができず、2009年、急速にシェアを落としていった。
「2010年は、低価格帯のシェアをどれだけとれるかが復活のカギになる」(伊藤氏)と考えた同社は、まず、社内でマザーボードと電源の規格を統一。自社内で使い回すようにして、在庫の滞留を抑える仕組みを作った。
豊富なラインアップがウリだったが、本当に売れる製品はひと握り。全体として生産台数を伸ばせず、単価が上がってしまっていたことから、2010年上半期は、3製品に絞って投入する。また、こだわってきたアルミシャーシをスチールシャーシに変更し、製品価格を約20%下げることに成功した。2月25日に発売したエントリーモデル「Shuttle SG41J1」は、実勢価格1万8800円前後という価格だ。
大きく変わったのは、新製品がMini-ITXマザーボードに対応していること。これまで同社のベアボーンPCは、独自に改良したマザーボードに合わせた設計で、他社製マザーボードに換装することができなかった。つまり、マザーボードが使えなくなった瞬間に、製品の命が終わっていたのだ。
新製品がMini-ITXに準拠したことで、ユーザーは故障や最新マザーボードが出たときなどに、他社製マザーボードに換装できるようになった。これは他社製品への乗り換えを許すことになるが、伊藤氏は「一般のマザーボードのマーケットから少しでもユーザーを取ってくることができれば、それは当社にとって大きなメリットだ」と考えている。
低価格戦略と汎用化で、同社は2010年、ベアボーン市場で再び40%以上のシェアを目指す。(武井美野里)
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