店頭流通

デジカメ登場15年、変革の時 時代は「デジタルイメージング」へ

2010/03/11 16:51

週刊BCN 2010年03月08日vol.1324掲載


 家電量販店の店頭では「顧客が新製品に触れて魅力を感じてもらう売り場づくりをしていく」(同)計画で、モニタなどを設置してデモ映像を流すほか、POPなどを活用して新機能をアピールする。

 同社では「Z700EXR」に加え、SNSや動画投稿サイトに手軽にアップロードできる薄型モデル「ファインピックス Z70」や、耐衝撃性・防水機能などを備えた「ファインピックス XP10」、光学18倍の高倍率ズームモデル「ファインピックス S2500HD」など、計6機種を発売。「豊富なラインアップで春商戦を戦っていく」(同)考えだ。

ポラロイド健在
ニッチ市場に虎視眈々


 一方、インスタントカメラのグローバルブランド「Polaroid」の販売事業を行っているサミット・グローバル・ジャパンは、今年2月下旬から量販店向け展開を開始した。同社は生産・販売を独占する米サミット・グローバル・グループの子会社として、2009年11月に設立。日本におけるポラロイドの“復活”を手助けしている。

 ポラロイドを象徴するのは、やはりプリンタ内蔵で「その場で印刷」という特徴をもつインスタントデジタルカメラ「Polaroid Two」だろう。これに加え、写真データをUSBやBluetoothで送信して印刷するモバイルインスタントプリンタ、1万円前後の低価格なデジタルカメラなど、6モデルをラインアップ。まずは、一般ユーザーに馴染みの深い「デジタルカメラ×インスタント」を訴求する。

サミット・グローバル・ジャパンのインスタントカメラ「Polaroid Two」

 ただ、高田克之・執行役員リテール・法人ビジネス事業部長によれば、ユーザーや量販店が望んでいるのは、意外にも「フィルムのインスタントカメラ」なのだという。この要望に応えたフィルムのインスタントカメラは、今秋以降、満を持して投入する。ニッチな領域で存在感を示すことを目指す。

 販売チャネルは、量販店ではヨドバシカメラ、ビックカメラ、ノジマで展開。店頭では、お客様をインスタントカメラで撮り、プリントしたシール式の写真を小型カードに張って手渡すイベントを実施する。「カメラからすぐに印刷できるところを見てもらい、感動を伝える」(高田執行役員)ことが狙いだ。このほか、今年春には5000円前後のトイカメラの発売も予定しており、コンビニエンスストアや観光地の土産物店などに販路を拡大していく。

 近年のコンパクトデジタルカメラの性能について、高田氏は「基本機能は打ち止め感がある」と分析、製品の差異化を図るのが難しい状況だ。こうしたなか、同社は「インスタントカメラ」というポラロイドならではのコンセプトを強みに、手持ちモデルのリプレースは狙わず、もう1台追加で購入するユーザーの掘り起こしに力を入れていく方針だ。2010年度の販売目標は24億円を目指す。

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