店頭販売奮闘記

【店頭販売奮闘記】ティアック(後編) 「TASCAM」のファンをつくる

2010/03/04 18:45

週刊BCN 2010年03月01日vol.1323掲載

 このコーナーでは、店頭販売に注力するメーカーの販売第一線の動きを紹介する。(前編)では各社の販売戦略や体制を、(後編)では現場の奮闘ぶりを追う。

小泉貴裕
プロフェッショナル機器
事業部
タスカム営業部
国内販売課コンシューマ係
係長
 「TASCAM」ブランドのリニアPCMレコーダーをユーザーに訴求していくには、楽器専門店や家電量販店などの実店舗による製品の展示が不可欠。そのためには、店舗ごとに、店頭スタッフとのコネクションを維持する必要がある。「訪問する頻度を高くしないと、製品も人も忘れられてしまう」(小泉貴裕・プロフェッショナル機器事業部タスカム営業部国内販売課コンシューマ係係長)からだ。

 店舗の巡回でとりわけ大切にしているのは、「お店のスタッフにTASCAMのファンになってもらう」こと。「スタッフに製品を好きになってもらえば、お客様への伝え方も違ってくるし、その結果、製品も売れる」。スタッフとは「リニアPCMレコーダー以外の話、例えば、趣味の音楽の話などで盛り上がる」ことも。店舗のスタッフと顔の見える人間関係を築くというひたむきさが、売り上げに結びついているようだ。

 たくさんの製品が並ぶ店頭で「TASCAM」を手にとってもらうには、「見映え」と、録音機器の本質である「音質」がポイントだ。「見映え」の点では、製品を斜めに置いて飾ることができるアクリル製の展示台を考案。製品説明を表記する紙をパネルの間に挟み、モデルに合わせて紙を差し替えて使うというエコロジーな仕組みだ。音質については、デモ機を置かないとアピールするのは難しい。性能を十分に引き出せるよう、最適なヘッドホンを自ら店に提供したケースもある。

 昨今の景気低迷下、店舗では在庫を絞っており、回転が悪い在庫はなるべく置きたくないと考えている。こうした厳しい状況のなか、「お店のスタッフに『この製品は売りやすい』と思ってもらえるよう、一つずつ問題点をつぶしていく。それをどこまでイメージできるかが戦略」だと小泉氏は語る。ラウンダーとしての使命をきちんと理解し、戦略をもって店頭に臨んでいる様子がうかがえる。(井上真希子)
  • 1

関連記事

【店頭販売奮闘記】ティアック(前編) チャネル拡大で露出度高める