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ソニー 総合力を生み出す体制を構築 デジタルイメージングの拠点集約

2010/02/10 18:45

週刊BCN 2010年02月08日vol.1320掲載

 ソニーが、デジタルカメラをはじめとしたデジタルイメージング(DI)事業の強化に乗り出している。デジタル一眼レフカメラ「α(アルファ)」の開発拠点を、大阪からコンパクトデジタルカメラやデジタルビデオカメラ開発などを行う東京の拠点へ2010年3月末までに移行。拠点を集約することで、技術・製品開発の相乗効果と効率化を打ち出した。今後、ソニーではどのようなDI事業を展開していくのか。その方向性について、デジタル一眼レフカメラ開発を統括する勝本徹・コンスーマープロダクツ&デバイスグループ パーソナル イメージング&サウンド事業本部イメージング第3事業部事業部長に聞いた。

拠点集約で開発スピードを加速
新技術を各製品に水平展開

勝本徹
イメージング第3事業部事業部長
 「最大の狙いは、中期的な視点からユーザーにとって魅力ある製品を作るために、デジタル一眼レフ『α(アルファ)』、コンパクトデジカメ『サイバーショット』、デジタルビデオカメラ『ハンディカム』の事業部が一緒になって開発の総合力を生み出し、競争力を高めること」。勝本事業部長は今回の施策の狙いをこう説明する。

 それには、「開発した機能を各製品に展開することがポイントになる」という。

 「例えば、サイバーショットで最初に搭載した、笑顔を検出して自動的にシャッターを切る『スマイルシャッター』はα550でも採用して、ユーザーから好評を得た。こうした技術の相互乗り入れを加速する。共通技術はα、サイバーショット、ハンディカムと用途の異なる製品から視点の異なる使い方をすることで、魅力的な機能に磨くことができる」と話す。

 また、「DI事業を1拠点に集約したことで、新技術を開発したときにはすぐに各製品に導入できる。これによって、製品開発のスピードや事業の効率化が高まることも見込んでいる」。

フルハイビジョン動画撮影が可能なコンパクトデジカメ「サイバーショット HX5V」(左)と「同TX7」

 この時期での拠点集約については、「『α』の初心者からフラッグシップまでのラインアップが完成し、第1期が終了。ソニーがデジタル一眼事業を開始してから、ここ3年半ほどで旧コニカミノルタのメンバーとのチームとしての融合も進み、ビジネスも根づいた。そこで、一眼レフを含めたDIが一つになり、全体戦略で力を発揮する段階にきた」と、理由を話す。

 実は、今回のDI事業の集約には音響部門も含まれている。商品開発への具体的な活用はこれからだが、勝本事業部長はハンディカムやデジタルカメラの動画機能での音質向上などを考えているという。

デジタル一眼は小型・高機能で
動画機能も検討

 個別製品に目を向けると、統括するデジタル一眼レフは、「日本ではエントリー機に代表されるような小型モデルの需要が高まっている」と分析。小型・軽量モデルで、機能も一段高いレベルに引き上げていく製品を投入していく考えを示した。機能では「中級機並みの連写やノイズ低減機能などの導入を想定している」という。

 各社がデジタル一眼レフで搭載を進める動画撮影機能についても、「ニーズの高さを認識しており、対応を検討している」と話す。ただ、「デジタル一眼レフでの動画撮影は、AFのピント合わせといった使いにくい面がまだある。われわれとしては、誰もが簡単に使える動画機能を提案していきたい」との考えを示した。

 マイクロフォーサーズのように、レンズ交換が可能なコンパクトと一眼レフの中間に位置するデジカメも登場している。勝本事業部長は「今のところマイクロフォーサーズ陣営に参加する考えはないが、レンズをはじめとしたαの資産が生きることを前提に、薄くてコンパクト、さらに交換レンズの醍醐味も楽しめるカメラの開発も考えたい」という。

デジタル一眼レフのフラッグシップ機「α900」(左)と、小型・軽量のエントリーモデル「α230」

 αの開発の方向性については「『簡単』『思い通りの写真が撮れる醍醐味を楽しめる』をキーワードにした製品のラインアップを揃えて、これからの第2ラウンドに臨みたい」との意気込みを示した。

DIはイメージセンサーで差異化
自社開発で部品でも総合力発揮

 一方、動画機能をまだ搭載していないデジタル一眼レフに対しては、コンパクトデジカメ「サイバーショット」で動画機能を前面に出した製品戦略を打ち出している。1月に世界初のフルハイビジョン動画撮影機能を搭載した薄型モデルと高倍率ズームレンズ機種を発表。2月から順次発売する。「コンパクトデジカメの一つの方向性」(勝本事業部長)として、動画を軸にした高機能製品の展開を加速している。

 勝本事業本部長は、ソニーのDI事業全体を見渡したときに、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補性金属酸化膜半導体)といったイメージセンサーが他社との差異化を出す強みになるという。ソニーはCCDやCMOSを自社開発しているので、「イメージセンサーから新しい機能を提供できる」というのが理由だ。イメージセンサー以外にも小型液晶パネルやバッテリ、レンズも自社で手がけており、「デバイス(部品)でも総合力を発揮していく」と強調した。
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