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バッファロー/アイ・オー・データ機器 デジタルチューナーを尖兵に家電市場を攻略 「単機能」「多機能」に二極化

2010/01/28 18:45

週刊BCN 2010年01月25日vol.1318掲載

 PC周辺機器メーカーがデジタル家電に力を入れている。バッファローやアイ・オー・データ機器は、2009年12月以降、テレビ向けのデジタルチューナーに、インターネット接続が可能な録画機能付き地上・BS・110度CSデジタル放送対応モデルを次々投入。個室にある、いわゆる2台目以降のテレビとの組み合わせを想定する。このような多機能モデルを投入するのは、目前に控えた2011年のデジタル放送への完全以降に伴い、拡大し続けるデジタル家電市場の今後の成長に期待しているからだ。

「HVT-BCT300」と東芝の液晶テレビ「REGZA」をつないだデモ

 バッファローは、2009年12月に3波対応「LT-H91DTV」を発売。一方、アイ・オー・データ機器も同じく多機能モデル「HVT-BCT300」を2010年2月に発売する予定だ。いずれも本体に外付けHDDをUSBケーブルでつないで、番組を予約録画できるのが特徴。「番組のジャンルや家族によってHDDを使い分けられるのが便利」とアイ・オー・データ機器の大脇真貴・第1開発本部エンターテインメント開発部デジタルメディア開発課リーダーは述べたうえで、「ライバルはレコーダーだが、価格面では圧倒的に有利」と断言する。

 というのも、現在BDレコーダーの平均価格(税別)はおよそ8万1000円(12月BCNランキング)。一方、「LT-H91 DTV」の実勢価格は2万6800円前後、「HVT・BCT300」も2万6400円とほぼ同価格で、録画用のHDDを同時に購入したとしても、それと比べるとはるかに手頃だからだ。さらに、バッファローによると、この「エコノミー」な点が重要で、手持ちのアナログテレビを生かす「エコロジー」である点とあわせて、デジタルチューナーを導入する利点だと主張する。

 このほか、デジタルカメラやデジタルビデオカメラを接続すれば、PCを介さず本体経由で外付けHDDにデータを保存できるほか、写真や動画をテレビで視聴することができる。とくにアイ・オー・データ機器の「HVT-BCT300」はSDカードスロットを搭載し、メモリカードを直接差し込むだけなので、使い勝手がよい。もちろん、PC周辺機器としての機能も充実しており、いずれも家庭内LAN(ホームネットワーク)に対応。別室にある対応PCのHDDやレコーダーで録り貯めたテレビ番組を楽しめる。バッファローの「LT-H91DTV」は、ブラウザでWebページも閲覧できる。

荒木甲和
事業本部市場開発事業部次長
 バッファローの荒木甲和・事業本部市場開発事業部次長は、「LT-H91 DTV」に関して、「テレビは10年使うことを想定して作られているので、頻繁には買い替えない。それなら、既存のテレビに『デジタルチューナー』『ネットワーク対応』などの“機能”を追加すればよい」と、必要な機能を後から外付けするという発想を提唱。「テレビメーカーがやりにくいところに取り組んだ」と多機能チューナーの製品化の背景を明らかにした。

 そもそもデジタルテレビは、チューナーと同様、地上デジタル放送だけが視聴可能な「単機能モデル」と、録画機能付きやネットワーク対応などの「多機能モデル」に分けられる。例えば、前者はピクセラやダイナコネクティブ、後者はテレビメーカーのシャープや東芝、日立製作所、パナソニックなどが製品化している。このように、テレビそのものが大きく二極化しているのに足並みを揃える形で、デジタルチューナーもユーザーの需要に沿った製品が選べるよう、機能別にラインアップを拡充したというわけだ。

 一方、アイ・オー・データ機器は、「リビングのテレビは買い替えたりレコーダーを導入したりするが、2台目以降はなかなか手が回らない」(大脇氏)というユーザーの現状を踏まえて訴求する。ただ、メイン機能はチューナーとしながらも、「ホームネットワークを自宅で構築しているユーザーはまだ少ない。HVT-BCT300で、テレビに無線LANをつなぐことで、すそ野を広げられれば」とPC周辺機器としての可能性にも期待する。

 現在、バッファローは地デジのみに対応する4モデルと3波対応を2モデル、アイ・オー・データ機器は地デジ対応と多機能タイプをともに2モデルを扱う。両社の新製品投入を機に、テレビと同様、デジタルチューナーの二極化は一層進むとみられる。(井上真希子)

(上から)バッファロー「LT・H91DTV」、アイ・オー・データ機器「HVT・BCT300」
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