店頭流通
盛り上がりみせる「キーボード市場」 ノートPC補うサブキーとして購入増える
2009/12/10 16:51
週刊BCN 2009年12月07日vol.1312掲載
ワイヤレス機器が伸びる
キーボードでメーカー別販売台数シェア首位のエレコムは、現在のキーボード市場について「高価格帯と低価格帯で二極化が進んでいる」(営業企画課広報担当の新谷直子氏)と分析する。このため、売れ筋の低価格帯でシンプルなモデルを揃える一方で、今年10月に特殊な成形方法でキートップに透明感を出した高価格帯の「TK−FCP011」や、11月にはBluetooth対応の「TK−FBP014」と「TK−FBP013」を発売し、製品群を充実させた。高価格帯の製品群は、垂直の立ち上がりぶりだ。キーボードは一部のマニア層が買い求める傾向が強かった。だが、最近はノートPCが普及し、一般ユーザーも手にとる。そのため「凝ったデザインの製品を投入する」と新谷氏は商品化戦略を語る。店頭では、感触をつかんだうえで選んでもらえるよう、実機をパッケージから出して展示する。
ロジクールは年末商戦に向けて、入力機器の使い方をノートPCを含めてトータルで提案していく。量販店と協力し、顧客単価を引き上げることを狙う。
この1年間で、ネットブックなどコンパクトなノートPCが普及。これに伴い、外付けの入力機器を追加で利用するユーザーが多くなっている。なかでも「ワイヤレス製品の伸びは顕著」と、ロジクールの古澤明仁・プロダクトマネージャーは、エレコムと同様にノートPCとの併売に注目する。
同社では、1台のレシーバーで対応する入力機器を最大6台まで接続できる独自のワイヤレス技術「Unifying(ユニファイング)」を採用。年末商戦から来年にかけて、単価の高い「Unifying」対応製品を拡充する計画だ。製品単体の展示だけでなく、ノートPC売り場でも入力機器を置くなど、複数製品をクロスして使う利用シーンを提案する。来年は「盛り上がるノートPC向けの製品に狙いを定める」(古澤マネージャー)と、単価を上げつつキーボード市場の活性化を狙う。
Wiiなどゲーム機器用が売り頃
年間を通じて安定的に売れる商材の一つがキーボードだ。ビックカメラ新宿西口店で周辺・通信機器コーナーを担当する成崎敦史主任は、「とくにこの時期(年末)だから売れるという商材ではないが、新製品発売のタイミングが重なると、よく出る」と、メーカーの新製品動向を注視し、店頭での展開を考えているようだ。BCNランキングによると、キーボードの通年の平均単価(税別)は、低価格帯から高価格帯のすべてを含め3000円弱だ。「エントリー機で数を確保し、ハイエンド機で収益を得る」とするメーカー側の製品戦略と合致し、「売れ筋の価格帯は1000~2000円前後の低価格帯と、7000~1万円前後の高価格帯で、山が二つある」(成崎主任)ようだ。低価格帯のモデルは、価格と機能のバランスが重視され、高価格帯のモデルは展示した実機の打ち心地が決め手になるという。
全体的にはワイヤレスモデルの人気が高い。リビングに置いたPCとテレビをつないで使う際、画面から離れて操作するために購入するユーザーがいる。ビックカメラの成崎主任は、今後はBluetoothに対応したモデルが伸びると予想。「いまはまだ2.4GHzの無線タイプが主流だが、対応製品は今年に入って増えた。複数機器でのペアリングが簡単だし、USBポートを占有しないという利便性もあり、伸びしろはかなりある」と需要増に期待している。
ソフマップ秋葉原本館のキーボード売り場では、来店者にPC上級者が多いことを見込み、高機能モデルが充実しているマイクロソフトとロジクールに力を入れている。売り場では通路に面した目立つ場所に両社の陳列棚を設置している。
高級モデルとして注目度が高いのは、「静電容量無接点方式」を採用した東プレの「Realforceシリーズ」。価格が2万円前後とキーボードとしては非常に高価な製品にもかかわらず「1日に2~3台は売れており、予約も受けている」と店舗営業本部営業部の岡安良氏は手応えを感じている。
一方、有線モデルでも最近ではゲーム機の「Wii」や「PS3」用に購入するニーズも出ている。ソフマップ秋葉原本館では、ロジクールのエントリーモデル「iK−21WH」が売れ筋だという。
キーボード市場は、「Windows 7」搭載のノートPCが売れ行きを伸ばせば、それにつれて市場全体を底上げすることになりそうだ。
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