頂上熱戦

【頂上熱戦】「ネットブック」(上) ASUSと東芝

2009/12/10 16:51

週刊BCN 2009年12月07日vol.1312掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(上)では「製品戦略」を、(下)では「販売戦略」を問う。

Question. 製品戦略は?

【共通質問事項】 (1)自社の強みは? (2)製品の特徴は? (3)CULVノートとの相違点は?


(左から)Eee PC 1005HR-WS、dynabook UX

Answer.ASUS

生松智明
チャネルマネージメントディビジョン
チャネルマネージメント部長
(1)【自社の強み】ネットブックの先駆者としてのイメージが、市場で受け入れてもらううえでの強みになると考えている。製品開発においてはアウトソーシングを行わず、設計・製造までASUSグループの中で完結している。そのため、開発サイクルの短さやコストパフォーマンスの高さを維持でき、市場のニーズを迅速に取り込んだ製品開発ができるといった優位点がある。

(2)【製品の特徴】ラインアップが豊富なことが挙げられる。ネットブックだけで約20機種を揃えており、他社と比べると異色だが、これはネットブックであらゆるユーザーのニーズに応えるというコンセプトが理由。画面サイズや記憶媒体、デザインなどに幅をもたせたことで、幅広い層に受け入れてもらえると思う。このうち、主力製品である「Eee PC 1005HR-WS」は、貝殻のようなデザインに加えて、画面解像度の高さやバッテリのもちのよさなど、性能と価格のバランスが訴求ポイント。

(3)【CULVノートとの相違点】ネットブック市場はすでに成熟期にあるが、ユーザーのニーズは多様化している。当社としてはニーズがある限りチャレンジするので、その意味で通常のノートPCとのネットブックの間のセグメントを埋めることは必要だと考えている。WordやExcelでの作業や、動画視聴を快適に行いたいが、ネットブックでは不足という不満をCULVノートのUL20で補うことができれば、ASUSブランドがより日本市場に受け入れられると考えている。


Answer.東芝

杉野文則
PC第一事業部
PCマーケティング部
マーケティング担当 参事
(1)【自社の強み】1985年に世界初のラップトップPCを発売して以来、約25年間ノートPCを開発・販売してきた歴史がある。この業界をリードしてきたと自負しており、ノウハウをもっている。半導体や液晶、HDD/SSDなどの技術も自前でもっており、そういった総合的な技術を生かした製品を作ることができるのが強みだと考えている。

(2)【製品の特徴】dynabookシリーズでは、まずデザインと使いやすさを追求している。そのうえで、UXでは落下時などにHDDの磁気ヘッドを退避させてデータを保護する3D加速度センサーなど、dynabookのモバイルノートなどに積んでいた機能をそのまま搭載して、快適に使っていただけるよう設計した。また、独立型でピッチ19mmのキーボードは、発売当初からユーザーに非常に高い評価をいただいている。dynabookシリーズならではのコンセプトで磨き上げており、ブランドの安心感もあると思う。

(3)【CULVノートとの相違点】CULVノートのMXでは、ネットブックに対するユーザーの不満・要望を解決している。ネットブックはインターネットやメール中心で、ある種割り切って買っていただくもの。対してMXは、画面サイズの大型化、バッテリの長寿命化などを図ることで、ネットブックの不満点を解消し、かゆいところに手が届くスペックだ。具体的には動画サイトの視聴や、ビジネスユース、家庭内での据え置きでも使用したいというようなユーザーニーズの多様化に応えられる製品になっている。


・(下)に続く
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