頂上熱戦

【頂上熱戦】「ICレコーダー」(下) オリンパスとソニー

2009/12/03 16:51

週刊BCN 2009年11月30日vol.1311掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(上)では「製品戦略」を、(下)では「販売戦略」を問う。

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Question. 販売戦略は?

【共通質問事項】 (1)製品の訴求方法は? (2)拡販施策は? (3)今後の目標は?



Answer.オリンパス

(1)【訴求】カタログに、コンパクトデジカメと同じく浅田舞・真央姉妹を起用した。幅広い層に人気がある浅田姉妹をイメージキャラクターに起用することで、若者や女性にICレコーダーを“知ってもらう”きっかけをつくりたいという狙いがある。店頭に浅田姉妹のPOPを置いて、インパクトを与えていく。

(2)【拡販】ICレコーダーの売り場は、常に店員がいるとは限らない。そのため、製品の特色をわかりやすく表現したり、音を試聴できるようにしている。カラーバリエーションは、店頭で製品を目立たせる効果もある。現在、ボリュームゾーンの「Voice Trek V-72/V-62」に、ホワイトやピンクなどを揃えているが、カラバリには引き続き力を入れていきたい。また、最近はECサイトでの販売が増えてきていることから、Webでの露出を高めていく考えだ。自社のサイトだけでは限界があるので、広告を含めて仕掛けていく。これによって、店頭でも指名買いしてもらえるようにしたい。

(3)【目標】ICレコーダー市場は、台数ベースでは拡大しているものの、単価下落が進んでいる。いかに売り場での単価をアップさせていくかが課題。そのためにも、9月に発売したリニアPCM対応の「DS-750」を拡販したい。ビジネスユース、そして日常使いでも、絶対に満足してもらえるという自信がある。ICレコーダーは、ビジネスでの利用が中心だが、リニアPCM対応機なら子どものピアノの発表会などを臨場感たっぷりの音で残しておくことができる。“1台あると便利”ということを多くの人に知ってもらいたい。

斉藤裕一 事業統括本部 オーディオ事業推進部部長

Answer.ソニー

(1)【訴求】ICレコーダーを購入する人は、ビジネス、習い事、生演奏の録音など、用途が決まっている。これらのシーンで使われることがほとんどだ。そこで今回の新製品では、製品の訴求方法を大きく変え、ユーザーが用途によって選べるようにした。使いたい“コト”に合わせて提案している。ソニーのラインアップで、すべての利用シーンをカバーできる。

(2)【拡販】語学学習や習い事の録音などで、女性ユーザーが増えてきている。大型店を中心に、Digital Pitch Control(DPC=速度を変えて再生できる機能)が試せるデモ什器を設置した。オン・オフのボタンを押すだけで、速度変換した音声を試聴できる。また、昨年のモデルで業界に先駆けてピンクのモデルを投入したが、今回は、ゴールドやレッドも加え、女性ユーザー獲得にさらに力を入れる。

(3)【目標】例年、10月と2月に分けて新製品を投入してきたが、今回は、全ラインアップを一新するとともに、10月に一挙に投入した。例えば、シニアをターゲットにして液晶モニタやボタンを大きくした「AXシリーズ」には、カセットテープからダビングするためのケーブルやガイドを付属するなど“かゆいところに手が届く”ようにした。狙い通り、購入者の約7割を60歳以上の人が占めている。各新製品に強い手応えを感じているところだが、市場環境をみると、台数ベースでの成長が続いている一方、単価は下落傾向にある。“コト軸”での製品訴求を強化し、価格に流されない製品選びができるように誘導していきたい。

中島俊哉 コンスーマーAVマーケティング部門 パーソナルAVマーケティング部 パーソナルAVMK課 統括課長
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