店頭流通
ワコム 「Windows 7」で盛り上がるマルチタッチセンサーシステム
2009/11/26 18:45
週刊BCN 2009年11月23日vol.1310掲載
当面はノートPCに注力
ワコムは当面、マルチタッチセンサーシステムについて10インチから17インチクラスのノートPC市場に注力し、経営資源を集中する。ただ、デスクトップPCやスマートフォンなど、「サイズによって設計を変える必要がない技術」(飯村誠一郎・OP統括広報室ジェネラルマネージャー)も今後開発していく考え。現在は東芝やレノボ、富士通などにセンサーシステムを供給している。パネル製造には、TFT液晶の減価償却が終わった生産ラインを流用。価格競争力を確保している。飯村・ジェネラルマネージャーは、「従来はペンあるいはタッチ機能が要求された市場はごく一部で、使い方は限定されていた」と振り返る。それが「Windows 7」の登場により、「ユーザーのPCに対する期待は変わりつつある」とも指摘する。
嘉本・執行役員は、ペンと指のタッチを組み合わせることで、「データへのアクセスやドラッグアンドドロップなどを、リアルと同じ感覚で操作できるマルチタッチ機能のような直感的なインタフェースの部分に関心が移ってきている」とみている。さらに、「PCはコモディティ化が進んでおり、どこに便利さを見出せるかが重要になっている」と分析する。
もともとタッチセンサーシステムは、病院のカルテ入力や学校の授業での図形作成などの特定用途が中心で、コンシューマPC向けはほとんどなかった。タッチ機能自体はOSが「XP」の時代から搭載している。ただ、ペン操作のためにはマイクロソフトからライセンスを購入する必要があった。
また「Vista」ではペン操作に対応しても、マイクロソフトは「セキュリティにフォーカスしていた」(嘉本・執行役員)ため、話題にならなかった経緯がある。今回初めて「Windows 7」でマルチタッチ機能が大々的に取り上げられたのも、マイクロソフトの戦略によるところが大きい。嘉本・執行役員は「マイクロソフトはマルチタッチ機能のプロモーションに非常に力を入れている。Windows 7の発売で一気に盛り上がった」と語る。
ネットブックなどの分野でも「メーカーから声がかかっている」(嘉本・執行役員)と明かす。「すでに乗り出す用意はある」と新事業の開拓に意欲を示している。(信澤健太)
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