頂上熱戦

【頂上熱戦】「ICレコーダー」(上) オリンパスとソニー

2009/11/26 16:51

週刊BCN 2009年11月23日vol.1310掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(上)では「製品戦略」を、(下)では「販売戦略」を問う。

Question. 製品戦略は?

【共通質問事項】 (1)自社の強みは? (2)製品作りに対するこだわりは? (3)新製品の特徴


(左から)オリンパス「DS−750」、ソニー「PCM−M10」

Answer.オリンパス

(1)【強み】当社の音声録音機としての出発点は1969年で、「マイクロカセット」に録音する小型レコーダーを世界で初めて発売したという歴史がある。デジタル録音ができる機器は、98年に「Voice-Trek D1000」を投入した。パイオニアとして市場を作ってきたと自負している。

(2)【こだわり】市場では2000年ごろに、スティックタイプの筐体が流行った。しかし当社は、デザインのトレンドよりも操作性とモニターの見やすさを重視し、スティックタイプの製品は投入してこなかった。この時期は、シェアが後退したのだが、本体とUSBメモリを一体化させ、PCに直接挿しこめる「Voice-Trek V20」を発売したことが、その後の成長の原動力になった。08年には初めてリニアPCMレコーダーを投入した。この音質の良さを、どんなことに活用できるのか、何ができるのかという視点で製品を開発している。

(3)【新製品】「Voice-Trekシリーズ」で、48kHz/16bitのリニアPCM録音ができる「DS-700」「DS-750」を9月に発売した。両機種ともにノイズキャンセル機能と4GBのメモリを内蔵し、「ポッドキャスト」ボタンを設けていること、そしてサウンド編集ソフトを標準付属していることも特徴だ。ビジネスユースから趣味の領域まで、幅広いシーンでの利用を訴求している。「DS-750」にはMicroSDカードスロットを備えており、内蔵メモリに録音した音声を、MicroSDに移すことができる。本体内でファイル移動やコピーができることも差異化ポイントだ。

斉藤裕一 事業統括本部 オーディオ事業推進部部長

Answer.ソニー

(1)【強み】そもそもマイクの性能がよくなければ、いい音は録れない。つまり、ICレコーダーの音質を決めるのは、リニアPCMレコーダーかどうかだけではない。当社は、業務用放送機器の歴史のなかで培ってきた技術を民生用に応用している。このバックグラウンドは大きな強みだ。

(2)【こだわり】ICレコーダーを購入する人は、あらかじめ用途を決めている。店頭で、ふらっと買うような商品ではない。そこで、ユーザーが求めていた改善点を徹底的に調査した。その結果に基づき、機能から提案するのではなく、今回の新製品からは、「ビジネス・楽器」「ビジネス・語学学習・おけいこ」「おけいこ」「語学学習・おけいこ」というように、用途別での製品訴求に切り替えた。

(3)【新製品】リニアPCMレコーダーのラインアップとして、新たに「M10」を加えた。価格は3万円前後を想定したもので、上位機種の「Dシリーズ」の兄弟機という位置づけだ。「Dシリーズ」は英語表示だが、「M10」は日本語表示としたほか、全指向性マイクを採用した。手軽に高音質を録ってもらいたいという狙いがある。レッドをラインアップし、女性層の獲得も狙う。ボリュームゾーンの「UXシリーズ」は、ピンクやゴールドなど全6色を用意し、大容量化を図った。国内モデルでは初めてFMチューナーを内蔵したモデルもある。今回発売したICレコーダー各シリーズにノイズカット機能を付けたほか、よく使うボタンは前面に配置するなど、性能と操作性の強化を図った。

中島俊哉 コンスーマーAVマーケティング部門パーソナルAVマーケティング部 パーソナルAVMK課 統括課長


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