店頭流通
地図サービス 次世代のサービス続々 2013年には市場規模10兆円見込む
2009/11/19 17:00
週刊BCN 2009年11月16日vol.1309掲載
業界全体での取り組みが必須
政府は、「地理空間情報活用推進基本法」を2007年に施行し、地図情報の整備や、新産業の育成・創出を支援する姿勢を明らかにした。経済産業省は、「G空間プロジェクト」に取り組み、新市場の創出で地図サービス産業の市場規模は、2008年の約4兆円から2013年には約10兆円へと急増するとみている。メーカー各社の動きとしては、ゼンリンデータコムがハイビジョンカメラで撮影した全国の地図情報を3次元データに自動生成する方式を採用。インクリメントPは、パスコとキャドセンターの2社と共同で3次元都市データ「MAPCUBE」を構築している。そのほか、ナビタイムジャパンは屋内位置測位に向けてGPSと互換性のある信号を専用の装置から発信する「IMES(indoor messaging system=屋内GPS)」方式の実験を進めている。
ARに関しては、携帯電話のカメラで景色や街並みを撮影すると、関連づけた情報がライブビュー映像に表示されるというアプリケーションが次々と登場している。iPhoneのセカイカメラはその代表例だ。このほかKDDIの「実間透視ケータイ」やドコモの「直感検索ナビ」などが話題を呼んでいる。
ただ、ナビタイムジャパンは、「ARに対する取り組みはとくに行っていない」(大西啓介社長)という。インクリメントPも「今はコメントできる状況にない」(山根昌彦・サービスプラットフォーム事業本部第二企画制作部営業企画グループマネージャー)としており、メーカー各社の姿勢はさまざまだ。
根本的なところでは「ビジネスモデルをどうするのか」(ゼンリンデータコムの藤沢秀幸副社長)という問題提起もなされており、「IMES」の専用装置を誰が設置し、管理するのかという課題はその一つ。藤沢副社長は「業界全体での取り組みが必要だ」と訴える。ハードに限らず、ぐるなびや楽天トラベルなどコンテンツの連携も加速しており、地図サービスは広がりをみせ始めている。ただ、いまのところ各メーカーは仕込みの状態といった段階にある。キャリアやメーカー、政府は、次世代サービスに向けて取り組みを開始したばかりで、市場の「創出」には、まだ時間がかかりそうだ。(信澤健太)
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