店頭流通

ソニー Windows 7搭載PC 「超薄型」「タッチ」を付加価値に

2009/10/29 18:45

週刊BCN 2009年10月26日vol.1306掲載

 ソニーはマイクロソフトの新OS「Windows 7」を搭載したPC「VAIO(バイオ)」で、ノートは“超薄型”、デスクトップでは“タッチパネル”を目玉にした機種を付加価値モデルとして売り込む。得意とする薄型技術を採用した機種とWindows 7の機能を連携させたモデルを投入することで、単価下落に歯止めをかけたい考えだ。

「VAIO Xシリーズ」では本体の厚さが13.9mm、重さは655gを実現

ネットブックユーザーやファミリーを取り込む

 ノートPCでは、厚さが13.9mmの超薄型モデル「Xシリーズ」を投入する。重さは約655gで、付属のバッテリーで20.5時間の使用が可能。新開発のハイブリッドカーボン天板や特殊成形のアルミパームレストなどを採用することで、高い堅牢性も確保した。3.5世代携帯電話、無線LAN機能も内蔵。高速無線通信「WiMAX」にも対応する。

 実勢価格は11万~13万円前後の見込み。CPUにインテルの低価格CPU「アトム」などを採用することで、従来のモバイルノートPCよりもコストを抑えたという。

 ノートPCでは低価格のネットブックに人気が集まっているが、ソニーでは薄さ・軽さという「圧倒的なモビリティー」(松原昭博・ソニーマーケティング執行役員ITビジネス担当)を武器に市場を開拓。ネットブック購入を検討しているユーザーなどの取り込みを図る狙いだ。

 一方、デスクトップPCはディスプレイ一体型モデル「Lシリーズ」を発売する。24型でフルハイビジョン対応のタッチパネル液晶を採用した。Windows 7のタッチ機能と連動。対応ソフトは指で画面に触れて動かし、ズームや回転などの操作ができる。

 タッチパネルを活かす機能として新開発の独自ソフト「メディア・ギャラリー」、メッセージソフト「ウェブカム・メッセージ・ボード」も搭載した。「メディア・ギャラリー」はユーザーの好みや利用日時に合わせてPC内の写真や動画、音楽などを画面に表示し、タッチ操作で再生や選択が可能。「ウェブカム・メッセージ・ボード」ではウェブカメラで撮影した映像を使って手書きのメッセージを指で操作しながら作成できる。

超薄型ノートPC「VAIO(バイオ) Xシリーズ」。通信機能も内蔵する

 「タッチパネルとソフトは家族で楽しむことができるので、親が子供のために買う需要が期待できる。新規購入や買い替えにつなげたい」(赤羽良介・ソニーVAIO事業本部副本部長)と考えており、Lシリーズではおもにファミリー層を開拓する。

 また、液晶がフルハイビジョンに対応。地上・BS・110度CS対応のデジタルチューナー2基を内蔵し、テレビ代わりにもなることから「アプリケーションに加え、ファミリー層への需要喚起の起爆剤になる」(松原執行役員)とみている。実勢価格は21万~23万円前後になる見通し。

 PC市場は低価格のネットブックの人気で台数は増加しているが、金額は減少している。ソニーではWindows 7搭載PCのVAIOで、付加価値モデルは「最新技術」、普及モデルでは「デザイン」「バリエーション」をキーワードに展開することで、単価アップと販売数量増加の両立を目指す。(米山淳)

Windows 7のタッチ機能と連動して指で対応ソフトの操作などができるディスプレイ一体型デスクトップPC「VAIO Lシリーズ」
  • 1