頂上熱戦

【頂上熱戦】「インクジェットプリンタ」(上)

2009/10/29 16:51

週刊BCN 2009年10月26日vol.1306掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(上)では「製品戦略」を、(下)では「販売戦略」を問う。

Question. 製品戦略は?

【共通質問事項】
(1)新製品の特徴は? (2)差異化ポイントは? (3)訴求ポイントは?


(左から)キヤノン「MP640」、セイコーエプソン「EP-802A」

Answer.キヤノンMJ

(1)【特徴】従来から、自宅での写真プリントを訴求してきた。しかし、写真プリントの美しさに対するニーズは高いものの、使われているのは、WEBページや文書ファイルのプリントのほうが多いというのが実状だ。そこで、今回は『WEBプリントに強い』ことを打ち出した。WEBページをプリントする際に、最後の1行だけが2枚目に送られてしまうことがあるが、こうした不満を解消する機能だ。セットアップ時にソフトウェアをダウンロードすることで利用できる。

(2)【差異化】WEB画面のプリントを柔軟にしたことや、大画面液晶による見やすさなどの操作性に加え、染料と顔料の2種類のブラックインクを搭載した機種のメリットを分かりやすくした。これを「W黒(ダブクロ)」としてアピールしていく。染料ブラックは、メリハリのある写真に、顔料ブラックは文字をくっきり仕上げることができるというメリットを強調している。

(3)【訴求ポイント】写真をきれいにプリントできることがベースで、これは外せないポイントだ。昨年までは、3人の女性タレントを起用して用途提案を中心にプリント促進を訴求してきたが、今年は、俳優の岡田将生さんを起用し、マス広告を刷新した。「簡単・快適操作」や「WEBプリントに強い」など機能訴求にも力を入れている。店頭では、SOHOユーザーを中心に「A3ノビ」の需要も高まっている。POPやチラシ作成に適した「iX7000」など、ビジネス向けモデルの訴求にも力を入れていく方針だ。

橋本圭弘 プリンティングソリューション企画本部 インクジェットマーケティング企画部部長

Answer.エプソン販売

(1)【特徴】昨年のモデルから、複合機の省スペース化を図り、操作ボタンを前面に配置するなど、主力機のデザインを刷新した。今年は、従来機種のベースを踏襲するとともに、無線LANに対応したことが大きな特徴だ。ネットブックの台頭で、セカンドマシンや家庭内のPCが増えてきているなかで、複数台のPCとプリンタを無線LANでつなぐことで“みんなで使える”利便性をアピールしている。

(2)【差異化】例えば、「EP-802A」など一部機種は、操作パネルの角度を変えられるため、PCラックの上や、あるいは下に置いた場合でも便利に使える。また、小型プリンタ「Colorio me」シリーズに、7型大型液晶を搭載し、デジタルフォトフレームとしても利用できる「E-600」と、これにキーボードを付属し、パソコンがなくても年賀状が作成できる「E-800」という新しい製品を加えた。小型のフォトプリンタ市場は、まだポテンシャルがあると確信している。

(3)【訴求ポイント】当社の調べで、複合プリンタが大きくて邪魔になると不満に感じている人や、使わないときには収納しているというユーザーがいることがわかった。無線LANの対応も家庭で使ってもらえる存在を目指した取り組みの一つだ。デジタルフォトフレームとしても使える「E-600」などを加えたのも、フォトフレームで写真を楽しむ機会を増やすことで、写真をプリントする動機づけになること期待をしている。プリンタが、暮らしのなかでなくてはならないという存在を目指し、製品を訴求していく。

鈴村文徳 マーケティングセンター プロダクトマーケティング部部長
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