大河原克行のニュースの原点

<大河原克行のニュースの原点>129.最終回 マイクロソフトがサービス企画部を設置する理由

2009/01/12 16:51

週刊BCN 2009年01月12日vol.1267掲載

 マイクロソフトは、コンシューマ事業を担当するコンシューマ&オンライン事業部(COI)内に、今後、サービス企画部(仮称)を新設する計画を明らかにした。

 堂山昌司代表執行役副社長が言明したもので、同社の新年度が始まる、2009年7月にも設置することになりそうだ。

24時間、サービスを考える

 COIは、パソコン用OSであるWindows Vista、スマートフォン向けOSであるWindows Mobile、ウェブサービスであるWindows Liveの三つの製品やサービスブランドを統合し、個人向け事業を担当する部門である。08年7月に設置されて以降、製品の枠を超えたマーケティングを実施。9月に公表したWindowsの新ブランディング戦略の実行においても中心的役割を果たしている。

 新設するサービス企画部は、コンシューマ分野における三つの製品やサービスを横断的に、また有機的に連携させた新たなサービスを創出することを目的としたものになる。

 堂山副社長は、「COIには、マーケティング機能はあるが、具体的なサービスモデルを考える部門がない。サーチやポータルといったサービスだけでなく、もっと魅力的なサービスを創出する必要がある。24時間、サービスのことだけを考える組織として設置し、Windowsを使って、どんなサービスを提供できるのか、そして、どう使えるのか、どう役立つのかを、マイクロソフトが持つ独創的な技術をベースにしたサービスとして明確にしていく」と語る。

 新組織の設置に向けて社内外から人材を集め、Windows 7の発売が見込まれる2009年後半には、成果を求められることになる。

 現在、コンシューマ事業におけるサービス収入は、MSNによる広告収入や、アドセンターのような広告プラットフォームによるものがあり、同事業全体の約2割を占めている。

 これを5年後には7割程度にまで引き上げる計画だ。その点でも、サービス企画部がドライブに向けて、重要な役割を果たすことになるだろう。

培った経験を生かす

 堂山副社長は、ソニー、EMIミュージック・ジャパン(旧・東芝EMI)などを経て、マイクロソフトの副社長に就任した。

 ハードウェア、コンテンツといった分野に携わってきた経験を持ち、マイクロソフトで初めて、ソフトウェアプラットフォームの仕事に携わることになる。そして、これまでの経験のなかで、サービスによる提案が、ハード、ソフト、コンテンツを魅力的なものに進化させ、ユーザーの購入意欲の促進に直結することを理解しているという。

 堂山副社長は、現在約500万台となっている国内コンシューマPCの市場規模を、2011年には、1000万台へと倍増させる目標を掲げている。そのためにはWindows 7などのOSや、オフィス製品などのアプリケーションソフトといった製品に加えて、魅力的なサービスの創出がカギを握るとみている。事実、今後の事業拡大は、サービス事業を抜きには成り立たないことが明らかだ。

 マイクロソフトのコンシューマ事業拡大は、新サービスの創出にかかっている。
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